私たちの毎日の食卓に、知らず知らずのうちに溶け込んでいる「食品添加物」。
「添加物って本当に危険なの?」「無添加って書いてあるものは安心?」― そんな疑問を持ちつつも、忙しい日々の中で完璧に避けるのは難しいのが現実です。40代を迎えて体調の変化を感じるようになった私は、この”見えない存在”とどう向き合うかを考え、1年かけてひとつずつ学び直してきました。
先にこの図鑑の姿勢をお伝えしておきます。添加物は「敵」ではありません。 法律で安全性の基準が定められており、現代の食生活を支えてくれている存在でもあります。ただ、長期間・大量に摂り続けた場合の影響には未解明な部分もあると言われていて、40代の変化しやすい体には「知って、選ぶ」という視点が心地よい ― それがこの連載の出発点でした。
この記事は、その学びの記録から主な添加物8グループの役割・表示の見方・付き合い方をまとめた保存版図鑑です。買い物の途中で「これ何だっけ?」と思ったとき、辞書のように開いてもらえたら嬉しいです。
この図鑑の内容
| 章 | 添加物 | ラベルでの見え方 |
|---|---|---|
| 1. 基本 | 「無添加」表示の読み方 | ― |
| 2. 保存料 | 安息香酸・ソルビン酸など | 「保存料(ソルビン酸)」 |
| 3. 甘味料 | アスパルテームなど | 「甘味料(アスパルテーム)」 |
| 4. 着色料 | 合成/天然 | 「赤色102号」「クチナシ色素」 |
| 5. 酸化防止剤 | BHA・BHTなど | 「酸化防止剤(BHT)」 |
| 6. 乳化剤・増粘剤 | キサンタンガムなど | 「増粘多糖類」 |
| 7. pH調整剤・凝固剤 | クエン酸Na・にがりなど | 「pH調整剤」「凝固剤」 |
| 8. うま味 | グルタミン酸ナトリウム | 「調味料(アミノ酸等)」 |
| 9. その他 | 香料・酵素・栄養強化剤 | 「香料」「酵素」 |
1. まず基本から ― 「無添加」表示の読み方
添加物とは、食品の保存や味・見た目をよくするために使われる成分のこと。そして最初に知っておきたいのが、「無添加」表示のルールです。
スーパーの棚には「無添加」「保存料不使用」と書かれた商品がたくさん並んでいます。でも「無添加」は、特定の添加物だけを使っていない場合にも表示できることがあり、すべての添加物が入っていないとは限りません。「無添加=安心」で思考を止めず、裏面の原材料表示を見る ― それがすべての出発点です。
私が実践している選び方のコツはシンプルです。加工食品の購入頻度を少し減らし、素材そのものに近い食材を選ぶこと。ラベルの「保存料」「着色料」「甘味料」という言葉に目を留める習慣を持つこと。そして、使われていても量が少ないものや比較的安全性が高いとされるものを理解して、過剰に怖がらないこと。慣れてくると自然な素材に近いものを選べるようになり、何より「選ぶ力」が育っていきます。
2. 保存料 ― 「長期保存=安心」を手放す
保存料は、食品がカビたり腐敗したりするのを防ぐための添加物。代表格は安息香酸(清涼飲料水・ドレッシング・醤油など)とソルビン酸(ジャム・ハム・漬物など)で、法律で使用量が定められており、通常の摂取であれば健康へのリスクはほとんどないとされています。
私が見直したのは、保存料そのものより「日持ちする=体に良い」という無意識の思い込みでした。冷蔵庫の奥の長持ちするお惣菜が、ふと”無機質”に感じられた日 ―「これは本当に、私の体がよろこぶ食べ物なんだろうか?」。そこからラベルを見る習慣がつきました。
知っておきたい視点として、体質によっては保存料に反応して肌荒れやアレルギー症状が出ることもあると言われます。私の付き合い方は、長持ちをうたう商品ほど成分を丁寧に確認する、調味料は保存料不使用のものを選ぶか自作する、新鮮なものをこまめに買う、旬の食材で常備菜を作る ― この程度のゆるさです。全て排除するのは現実的ではありません。「なるべく避けたいとき」と「うまく使いたいとき」を自分の感覚で選ぶことが、無理のないやさしい選択だと思っています。
3. 甘味料 ― 「ゼロカロリー」の正体を知る
「糖類ゼロ」「カロリーオフ」の表示は一見ヘルシーですが、こうした商品には人工(合成)甘味料が使われていることが少なくありません。代表格のアスパルテームは砂糖の200倍の甘さでカロリーはほぼゼロ。日本で広く認可され、清涼飲料水・ガム・ヨーグルト・プロテイン飲料などに使われています。
一方で、2023年にはWHO傘下の国際がん研究機関(IARC)がアスパルテームを「発がん性の可能性がある物質」に分類したことが話題になりました。通常の摂取でただちに健康被害が出るわけではありません。でも、”知らずに毎日摂り続けている”ことに目を向ける価値はあると感じています。
ラベルで見かけたら立ち止まりたい名前は、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン。特に清涼飲料水、ノンカロリーゼリー、低カロリーお菓子、栄養補助食品は要チェックです。
私の付き合い方は「甘さを我慢しない、でも選ぶ」。飲み物は無糖かハーブティーに。甘みが欲しいときは、はちみつや黒糖、てんさい糖、メープルシロップなど加工度の低い自然派の甘さを少量。アスパルテーム入りのものは”毎日は摂らない”ルールに。甘いものは心をほっとさせてくれる存在だからこそ、「私の体が心地よく感じる甘さ」をちゃんと選んであげたいのです。
4. 着色料 ― カラフルな誘惑の裏側
鮮やかなピンクのゼリー、目を引くブルーのキャンディー。その「鮮やかさ」の正体は、大きく2種類に分かれます。
合成着色料(赤色◯号・黄色◯号・青色◯号など)は石油等から化学合成され、少量で鮮やかに発色し、安くて色持ちが良いのが特徴。一方で、一部には発がん性の可能性が指摘され海外で使用禁止になっているもの(赤色2号、黄色5号など)があり、子どもの多動性との関連やアレルギー反応が報告されることもあります。天然着色料(クチナシ、ベニバナ、紅麹など)は植物などに由来し、古くから和菓子や漬物に使われてきた、やさしい色合いが特徴です。
私の選び方は4つ。天然着色料を使った食品を選ぶ。かぼちゃの黄色や紫キャベツの紫など、素材の色をそのまま楽しむ。カラフルな加工品は”時々のお楽しみ”に。そして手作りおやつで”自然な色”を楽しむ時間をつくる。色は心を明るくしてくれるけれど、それが”本来の色”であることに、今は安心感を覚えます。
5. 酸化防止剤 ― “酸化しない暮らし”を考える
切ったリンゴが茶色くなる、油が風味を失う ― それが「酸化」です。体内でも活性酸素による酸化が老化や肌のくすみと関わるとされ、食品では油脂の劣化を防ぐために酸化防止剤が使われます。代表的なのはBHA・BHTで、油脂・乾燥食品・マーガリン・焼き菓子などに使われています。
これらは基準内の使用が前提で、適量であれば安全性が前提とされています。一方で、過剰な使用や動物実験の結果から、懸念が指摘されることもある成分です。
面白いのは、この章のテーマが「添加物を避ける」だけでは終わらないこと。“酸化しない暮らし”は、食品にも体にも共通する視点だからです。私の工夫は、油や食品は小容量を選んで早めに使い切る、遮光保存と冷蔵・冷凍を活用する、油は使う前に匂いをチェックする、加熱しすぎない調理法を選ぶ。酸化防止剤との向き合い方は「使う/使わない」の二元論ではなく、そもそも酸化させない暮らし方を整えることなのだと思います。
6. 乳化剤・増粘剤・ゲル化剤 ― “静かな支え手”たち
ドレッシングが分離しない、ソースにとろみがある、ゼリーがぷるんと固まる ― その裏には、乳化剤(水と油をなじませる)、増粘剤(とろみを与える)、ゲル化剤(固める)という”裏方”がいます。ラベルでは、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カラギナンなどの名前や、「増粘多糖類」「増粘安定剤」という総称で現れます。総称表記は複数の成分が混用されている可能性があり、何が使われているか見えにくいのが難点です。ちなみに、粉チーズがサラサラなのは「セルロース」という固結防止の成分のおかげ ― こんな身近なところにも、静かな支え手はいます。
知っておきたい視点は4つ。一部の乳化剤には腸内環境への影響を示唆する動物実験の報告があること。複数併用・常習摂取の長期影響には未知の部分があること。総称表記の曖昧さ。そして個人差です。
私の選択は、とろみづけには寒天・葛粉・片栗粉というシンプルな素材を使う、ゼリーは寒天やペクチンで手作りする、超加工食品を選ぶ回数を減らす、そして腸を整える発酵食品と食物繊維を意識的に摂ること。「何でも排除する」のではなく、自分なりの線引きを持つことが大切だと感じています。
7. pH調整剤・凝固剤 ― “影の主役”たち
pH調整剤は食品の酸性/アルカリ性を整えて品質を安定させる成分(リン酸ナトリウム、クエン酸Na、炭酸水素ナトリウムなど)。凝固剤は豆腐やゼリーを固める成分(にがり=塩化マグネシウム、グルコノデルタラクトン=GDLなど)です。これらも「pH調整剤」「凝固剤」という一括表示が多く、具体的に何が使われているか分かりにくいことがあります。
留意したい視点として、リン酸塩系のpH調整剤は摂りすぎると腎臓やミネラルバランスへの負担が指摘されることもあります。私の選び方は、豆腐は「にがり使用」「製法が明記されているもの」を優先する、pH調整剤の記載がないものを選べるときは選ぶ、酸味は自然な果汁で補う ― その程度です。ラベルをチェックする行為を「学び」や「自分へのやさしい問いかけ」と捉えると、買い物が少し豊かな時間になります。
8. 調味料(アミノ酸等) ― 「うま味」とのつき合い方
「調味料(アミノ酸等)」は、うま味を加えるアミノ酸系調味料の総称表示で、グルタミン酸ナトリウム(MSG)を主成分とするものも含まれます。科学的なレビューでは「通常の食事量においては安全」とする見解が多く、うま味成分を使うことで塩分を抑えながら味を保てるという研究報告もあります。
それでも私が立ち止まるのは、40代になって味覚が変わってきたから。昆布のだし、干し椎茸、熟成チーズ ― 素材そのものが持つグルタミン酸やイノシン酸の”深み”の心地よさに気づいたのです。私の見直しは3つ。ラベルの「調味料(アミノ酸等)」に目を留める習慣。昆布・かつお節・干し椎茸のだしストックを増やして、味を”引き出す”暮らしへ。そして「うま味を足す」から「素材のうま味を活かす」への視点の転換です。
9. 香料・酵素・栄養強化剤 ― “一見安全”なものほど、選び直す価値がある
最後は、なんとなく”良さそう”に見える3つです。
香料は、一括名の中に合成香料も天然香料も含まれ得るため、「香料」の一言では実態が見えません。私は香りの強いお菓子や飲み物のあとに眠りが浅く感じることがあり、「香料不使用」「自然由来の香り」という表示も意識するようになりました。酵素は、発酵食品の自然な酵素と、製造助剤として添加された酵素が同じ「酵素」表示になることがあり、「酵素入り=体に良い」と無条件に捉えるのは少し手放しました。栄養強化剤(カルシウム・鉄・ビタミン添加など)は、「補う」より「整える」― 栄養を安定して活かせる体づくり(発酵・睡眠・食材の質)を先に大切にして、強化食品は”時々の助け”として選んでいます。
「安心そう」で終わらせず、「私には必要?」「本当に整えてくれている?」という問いに変えてみる。一見安全なものほど、選び直す価値があるのです。
まとめ ― 「知って選ぶ」が、暮らしを守る
8つのグループをめぐってきて、共通する心得は3つに集約されます。
- ラベルの裏面を見る習慣を持つ(総称表示の裏に何があるかを想像する)
- 基準内では安全が前提。ただし”毎日の積み重ね”には自分の感覚で線を引く
- 排除ではなく、観察。怖がるのではなく、選ぶ
添加物を学ぶことは、ただ「避ける」ためではなく、自分らしい選択の目を育てること。何を受け入れ、どこに線を引くか ― その判断の積み重ねが、暮らしの”私らしさ”をかたちづくっていきます。
次の買い物で、ひとつだけ商品を裏返してみてください。そこから、あなたの「選ぶ力」が育ち始めます。
※本記事は一般的な情報と私自身の体験のご紹介です。アレルギーや持病のある方は、医師にご相談ください。

