第6回:さやいんげんで「気」を補い、湿を出す。梅雨のだるさを整える薬膳習慣
6月も半ばに近づくと、梅雨の雨がいよいよ本格的になってきます。
「なんだか体が重い」「むくみが気になる」「胃腸の調子がもうひとつ」——そんな感覚が続いていませんか。
前回はトマトで「体の熱を冷ます」ことをお伝えしました。今回ご紹介するのは、梅雨のもうひとつの大敵「湿」と「だるさ」に寄り添ってくれる食材——さやいんげんです。
緑が鮮やかで、シャキッとした食感が心地よいさやいんげん。脇役のイメージがあるかもしれませんが、薬膳の視点から見ると、梅雨の40代の体に必要な働きが、ぎゅっと詰まった頼もしい食材なのです。
薬膳で見る「さやいんげん」という食材
薬膳では、食材をその「味・性質・働き」で捉えます。
さやいんげんの味は、甘味。性質は「平性」——体を温めも冷やしもしない、穏やかでバランスのよい性質を持っています。帰経は脾・胃とされており、胃腸の働きを支える食材として位置づけられています。
主な薬膳的な働きは次の通りです。
気を補い、エネルギーを高める
さやいんげんは豆類の仲間で、体のエネルギー源となる「気」を補う働きがあるとされています。「なんとなくだるい」「疲れが抜けない」という梅雨の不調にやさしく寄り添ってくれます。
脾(胃腸)を養う
さやいんげんは「脾」を養い、胃腸の働きを助ける食材とされています。梅雨は湿気で消化機能が落ちやすい時期。胃腸をいたわるさやいんげんは、まさにこの季節にぴったりです。
余分な水分(湿)を外に出す
豆類には、体の余分な水分を排出する働きがあるとされています。梅雨に溜まりやすい「湿」を取り除き、むくみや重だるさをやわらげるサポートをしてくれます。
体を穏やかに整える
平性で穏やかな性質のため、冷えが気になる方にも、熱がこもりやすい方にも、どちらにも取り入れやすいのが大きな魅力です。
梅雨に「気虚」と「湿」が重なるとどうなるか
薬膳では、梅雨の不調を引き起こす原因として「湿(しつ)」が体に溜まることを重視します。そして40代の体では、この「湿」に「気虚(ききょ)」——エネルギー不足——が重なりやすいのが特徴です。
「湿」が溜まると…
- 体が重だるい、むくみやすい
- 頭がぼんやりする
- 胃がもたれる、食欲が落ちる
「気」が足りないと…
- 疲れやすい、気力が続かない
- 少し動いただけで消耗する
- 風邪を引きやすくなる
梅雨の時期は、この2つが同時に起こりやすいのです。「湿を出す」だけでも、「気を補う」だけでも足りない——両方に同時にアプローチできる食材が必要になります。
さやいんげんは、まさにこの「気を補いながら、湿を出す」という両方の働きを兼ね備えた、梅雨にうれしい食材なのです。
40代の体とさやいんげんがつながる理由
40代になると、ホルモンバランスの変化で自律神経が揺れやすくなり、梅雨の「湿」や「気虚」の影響を特に受けやすくなります。
「若い頃は梅雨でもここまで重だるくならなかったのに」——そう感じる方が多いのは、体が季節の変化に対してより敏感になっているからです。
前回の第5回ではトマトで「熱を冷ます」ことをお伝えしましたが、さやいんげんはその穏やかな性質で「胃腸を支えながら湿とだるさを整える」という、もう少し土台に近い部分にアプローチしてくれます。
トマトの「冷ます力」と、さやいんげんの「補い、出す力」——梅雨の体には、この両方をバランスよく取り入れることが理想的です。
毎日の食卓にさやいんげんを一品加えるだけ。それが、梅雨のだるさを整えるキッチンセルフケアの自然な一歩になります。
梅雨の不調チェック
次のような感覚が続いている方は、「湿」と「気虚」が重なったサインかもしれません。
- 体が重だるく、疲れが抜けにくい
- 足や顔がむくみやすい
- 胃がもたれる、食欲にムラがある
- 少し動いただけで疲れる
- 気力が続かず、なんとなく億劫
こうした不調に心当たりのある方には、さやいんげんの「気を補い、湿を出す」働きがやさしく寄り添ってくれます。
今日のレシピ:さやいんげんとささみのごま和え風
気を補うさやいんげんと、薬膳で「気を補い、胃腸を養う」とされる鶏ささみの組み合わせは、梅雨の疲れた体をやさしく整えてくれる一品です。10分ほどで作れます。
【材料(2人分)】
| 食材 | 分量 |
| さやいんげん | 100g(約15~20本) |
| 鶏ささみ | 2本 |
| すりごま | 大さじ2 |
| 醤油 | 小さじ2 |
| みりん | 小さじ1 |
| 塩 | 少々 |
【作り方】
- さやいんげんはヘタを取り、塩を加えた湯で2~3分茹で、食べやすい長さに切る。
- 鶏ささみは筋を取り、茹でて(または酒蒸しにして)粗熱が取れたら手で細かくほぐす。
- すりごま・醤油・みりんを混ぜ合わせる。
- さやいんげんとささみを和え衣で和えたら完成。
ひとこと薬膳メモ
すりごまは薬膳では「血を補い、潤いを与える」食材とされ、40代の体にうれしい組み合わせです。さやいんげんとささみで「気を補い」、ごまで「血を補う」——梅雨で消耗しがちな体を、内側からじんわり支えてくれる一品になります。冷やしすぎず、常温でいただくのが胃腸にやさしい食べ方です。
旬のさやいんげんを、産地から届けてもらう
さやいんげんは、鮮度が味と食感を大きく左右する野菜です。採れたてのものは、シャキッとした歯ごたえと豆ならではの甘みが格別です。
「坂ノ途中」は、農薬・化学肥料不使用または削減に取り組む生産者から、旬の野菜を届けてくれる宅配サービスです。梅雨の時期に旬を迎えるさやいんげんをはじめ、季節ごとに「今の体に必要なもの」を自然に取り入れられる食卓が整っていきます。
気になる方はこちらからチェックしてみてください。
今日のまとめ
- さやいんげんは薬膳では「平性・甘味」。気を補い、脾(胃腸)を養い、余分な湿を出す梅雨に最適な食材
- 梅雨の40代の不調は「湿」と「気虚」が重なって起きやすい
- さやいんげんは「気を補う」と「湿を出す」を同時に叶える、梅雨にうれしい働きを持つ
- 平性で穏やかなため、冷えやすい人にも熱がこもる人にも取り入れやすい
- ささみ・ごまと合わせると「気」と「血」を同時に補える一品になる
- 旬のさやいんげんを毎日の食卓に一品加えるだけで、梅雨のキッチンセルフケアが始まる
旬のさやいんげんを一束手にとって、キッチンに立つ10分間。
その時間は、誰かのためではなく、今日の自分をいたわるための時間です。
茹でたての鮮やかな緑をごまで和えるとき、「今日の体に必要なものを届けている」という小さな満たされた気持ちが広がります。
菜の花・たけのこ・アスパラガス・トマト——そして梅雨のさやいんげんへと、季節の野菜を一品ずつ取り入れながら積み重ねてきた食卓の変化を、ぜひ感じてみてください。
旬のものを食べる。それだけで、梅雨の重だるさの中でも、体の内側からすっと軽さが戻ってくる気がします。
そんな小さな積み重ねが、これからの暮らしをしなやかに、そして心地よく整えてくれるはずです。
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