春の野菜で整える40代のキッチンセルフケア③

③【食・オーガニック・健康食】

第3回:たけのこで「気・血」を動かす。停滞しがちな春の体をほぐす薬膳習慣

春になると、スーパーや八百屋の店頭に、どっしりとした姿のたけのこが並び始めます。

「アク抜きが面倒そう」「どう使えばいいかわからない」——そう感じて、素通りしてしまっていませんか。

でも薬膳の視点から見ると、たけのこは春の体にとってとても頼もしい存在です。冬の間に溜め込んだ「停滞」をほぐし、気と血の流れを動かしてくれる、春ならではの食材なのです。

今日は、たけのこが持つ薬膳的な働きと、毎日の食卓に取り入れやすいシンプルレシピをご紹介します。

薬膳で見る「たけのこ」という食材

薬膳では、食材をその「味・性質・働き」で捉えます。

たけのこの味は、甘味と苦味。性質はやや涼性で、体の余分な熱をやわらげる働きがあるとされています。

主な薬膳的な働きは次の通りです。

気の巡りを整える 滞った気の流れをゆるやかに動かし、体の内側からほぐしてくれます。春に感じやすい「なんとなくつかえる感じ」「気持ちのもやもや」に寄り添う働きがあります。

血の流れを促す 気と血は密接に関わっています。気が動くと血も動く——たけのこはこの連動を自然にサポートしてくれる食材です。

解毒・利尿のサポート 余分な水分や老廃物を体の外へ促す働きも期待されています。冬から春へと移り変わるこの時期、体の「大掃除」を手伝ってくれるイメージです。

「気が滞る」とはどういう状態か

薬膳でよく出てくる「気滞(きたい)」という言葉。40代の春の体には、特にこの状態が起きやすいといわれています。

「気が滞る」とは、体の中を流れるエネルギー(気)の巡りが滞ってしまった状態のことです。水が流れなくなった川のように、体の中の循環が止まってしまうイメージです。

気滞のサイン、こんな感覚はありませんか?

  • 胸やお腹がつかえるような感じがする
  • ため息が自然と出る
  • なんとなくイライラしやすい
  • 気分が晴れず、やる気がわかない
  • 体が重く、スッキリしない

これらは、ホルモンバランスの変化が重なる40代の春に特に感じやすいものです。「更年期のせいかな」「疲れているだけかな」と思いがちですが、気の流れが滞っているサインでもあります。

気滞は、体を動かすことや食べるもので少しずつほぐしていくことができます。たけのこはそのひとつの手助けになってくれる食材です。

アクの正体と下処理の意味——薬膳的視点から

たけのこといえば、アク抜きが必要な食材として知られています。「手間がかかる」と敬遠される理由のひとつでもありますが、薬膳の視点から見ると、このアク抜きには大切な意味があります。

たけのこのアクの主な成分は、シュウ酸やホモゲンチジン酸です。えぐみや苦みの原因になるだけでなく、体への負担になる場合もあるとされています。

薬膳では、食材の持つ「偏り」を和らげ、体への働きを穏やかにすることを大切にしています。たけのこのアク抜きは、まさにその考え方に沿った下処理といえます。

シンプルなアク抜きの方法 生のたけのこは、米ぬか(または米のとぎ汁)と鷹の爪を加えた水で、根元に竹串がすっと通るまで30~40分ゆでます。そのままゆで汁の中でゆっくり冷まし、冷えたら皮をむいて水洗いすれば完成です。

下処理済みの水煮たけのこを使うと、さらに手軽に取り入れられます。まずは水煮から始めてみるのも、40代のキッチンセルフケアとして十分です。

40代の体とたけのこがつながる理由

前回前々回の記事でもお伝えしたように、薬膳において春は「肝(かん)」の季節です。肝は気と血の流れを調整し、感情やストレスとも深く関わっています。

40代になるとホルモンバランスの変化とともに肝の働きが乱れやすくなり、気滞が起きやすくなります。

春の不調チェック

  • 春になってもだるさが抜けない
  • なんとなくイライラしやすい
  • 目が疲れる、肩や首がこる
  • 気分の波が大きくなった気がする

こうした不調に心当たりのある方は、「肝」と「気滞」のサインかもしれません。

たけのこの「気の巡りを整え、血の流れを促す」働きは、この春の肝ケアにぴったり重なります。難しいことは何もなく、旬のたけのこを食卓に一品加えるだけ。それが40代のキッチンセルフケアの、自然な一歩になります。

今日のレシピ:たけのこの土佐煮

かつおだしとたけのこの組み合わせが体にやさしい、春の定番煮物です。だしのうまみがたけのこに染み込んで、えぐみも気にならないやさしい味わいになります。

【材料(2人分)】

食材分量
たけのこ(水煮)200g
かつおだし200ml
しょうゆ大さじ1
みりん大さじ1
砂糖小さじ1
鰹節ひとつかみ

【作り方】

① たけのこは食べやすい大きさに切る。穂先はくし形に、根元は半月か銀杏切りにすると味が染みやすい。

② 鍋にかつおだし・しょうゆ・みりん・砂糖を合わせて中火にかけ、沸いたらたけのこを加える。

③ 落としぶたをして弱火で10~15分、煮汁が少なくなるまで煮る。

④ 火を止める直前に鰹節を加えてさっと絡め、器に盛って完成。

ひとこと薬膳メモ かつおだしには気を補う働きがあるとされています。たけのこの「気を動かす」働きと合わさることで、停滞をほぐしながら体のエネルギーも補うやさしい一品になります。煮汁ごといただくと、だしの栄養もまるごと取り入れられますよ。

旬のたけのこを手軽に取り入れたい方に、こちらもおすすめです。

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今日のまとめ

  • たけのこの「甘味と苦味」は、気の巡りを整え血の流れを促す春の代表的な薬膳食材
  • 「気が滞る(気滞)」状態はイライラ・だるさ・気分の重さとして現れやすく、40代の春に特に起きやすい
  • アク抜きは薬膳的にも重要な下処理。水煮を活用すればより手軽に取り入れられる
  • 40代に乱れやすい「肝」のケアに、たけのこの気・血を動かす働きがよく合う
  • 土佐煮はかつおだしと合わせることで、気を補いながら停滞をほぐすやさしい一品になる

手間がかかるイメージのたけのこですが、水煮を使えばすぐに食卓へ。

旬のものを一品手にとって、キッチンに立つ15分間——その時間は、誰かのためではなく、今日の自分をいたわるための時間です。

土佐煮を煮ながら、だしの香りと春らしいたけのこの姿を感じるだけで、体の内側から少し軽くなれる気がしませんか。

40代は、自分の体の声に耳を傾けるのが、いちばん上手になれる季節だと思っています。

旬のものを食べる。それだけで、春の自分をちゃんといたわれている。

そんな小さな積み重ねが、これからの暮らしをしなやかに、そして心地よく整えてくれるはずです。

【関連記事】
▷ 第1回:春の体はなぜゆらぐ?薬膳から見た40代の「春の不調」と野菜の力
▷ 第2回:菜の花で「肝」を整える。春の苦みが40代の体を目覚めさせる理由

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