バジルとミント。
まったく違う香りなのに、どちらも同じ「シソ科」だとご存じでしたか。
セージも、タイムも、ローズマリーも ― 実は、みんな親戚です。
- 科名を知ると、ハーブがつながる
- だから、性格にたとえてみました
- この記事の使い方
- 11の科と、その性格
- いちばん賑やかな一族
- なぜ、香りが強いのか
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- シソ科と、40代の暮らし
- 食後の不快感に、そっと寄り添う
- 特徴は「種子も使う」こと
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- 冷えに、いちばん頼りになる一族
- 使うのは「根茎」
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- 色と辛味で、元気をくれる
- 辛味の正体は「カプサイシン」
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- 世界を動かしたスパイス
- 黒と白の違い
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 冬の香りの、主役
- クローブは「花のつぼみ」
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- 樹皮と葉から生まれる香り
- シナモンは「樹皮」
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- ひとつの実から、2つのスパイス
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- 鼻に抜ける、あの刺激
- 辛味の正体は「アリルイソチオシアネート」
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- アブラナ科野菜という、大きな家族
- 朝に、いちばん似合う香り
- 「柑橘」だけではない
- 代表的なメンバー
- 暮らしへの取り入れ方
- 注意したいこと
- キク科 ― やさしく癒す”母性の人”
- ユリ科 ― 暮らしに寄り添う”友達タイプ”
- まとめ ― 科名を知ると、選び方が変わる
- なぜ、科名を知ると便利なのか
- 覚えなくても、大丈夫
科名を知ると、ハーブがつながる
ハーブやスパイスを覚えようとすると、種類の多さに圧倒されます。
でも、「科(か)」という分類で見てみると ―
似た性質を持つもの同士が、きれいにまとまっていることに気づきます。
シソ科は、香りが強い。
セリ科は、消化を助ける。
ショウガ科は、体を温める。
この”家族の傾向”を知っておくだけで、ハーブ選びがぐっと楽になります。
だから、性格にたとえてみました
この記事では、11の科を「性格」にたとえてご紹介します。
シソ科は、香りで人を癒やす”おしゃべり上手”。
セリ科は、消化を助ける”気づかい上手”。
ショウガ科は、体を温める”情熱家”。
そんなふうに覚えると、不思議と頭に入りやすくなるのです。
この記事の使い方
上から順に読んでいただいても、気になる科から読んでいただいても構いません。
「あのスパイス、何科だっけ?」と思ったときに、辞書のように開いていただけるようにまとめました。
※本記事は一般的な情報のご紹介です。 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、服薬中の方は、ハーブやスパイスの多量摂取について、医師や薬剤師にご相談ください。
11の科と、その性格
| 科名 | 性格 | 代表的なハーブ・スパイス |
|---|---|---|
| シソ科 | 香りで癒やすおしゃべり上手 | バジル、ミント、オレガノ、タイム |
| セリ科 | 消化を助ける気づかい上手 | パセリ、ディル、クミン、コリアンダー |
| ショウガ科 | 体を温める情熱家 | ジンジャー、ターメリック、カルダモン |
| ナス科 | 食卓を華やかにするムードメーカー | チリペッパー、パプリカ |
| コショウ科 | ピリッと刺激の行動派 | ブラックペッパー、ロングペッパー |
| フトモモ科 | 甘く深い包容力タイプ | クローブ、オールスパイス |
| クスノキ科 | 記憶と癒しの穏やかさん | シナモン、ローリエ |
| ニクズク科 | 味を支える控えめな達人 | ナツメグ、メース |
| アブラナ科 | ピリリと効くデトックス担当 | わさび、マスタード |
| ミカン科 | 爽やかな前向きリーダー | ゆず、山椒、オレンジピール |
| キク科・ユリ科 | やさしく癒す母性の人/友達タイプ | カモミール、よもぎ/にんにく、玉ねぎ |
1. シソ科 ― 香りで人を癒やす”おしゃべり上手”
いちばん賑やかな一族
ハーブの世界で、もっとも顔ぶれが多いのがシソ科です。
バジル、セージ、タイム、ローズマリー、オレガノ、ミント、レモンバーム、ラベンダー ―
料理でもアロマでも、主役を張るものばかり。
まさに、香りでその場を明るくする”おしゃべり上手”です。
なぜ、香りが強いのか
シソ科の植物は、葉の表面に「腺鱗(せんりん)」という小さな袋を持っています。
ここに、精油成分が蓄えられているのです。
葉に触れるだけで香りが立つのは、この袋が壊れて成分が飛び出すから。
触れると香る ― これが、シソ科の大きな特徴です。
代表的なメンバー
◎ バジル
甘く華やかな香り。 トマトとの相性が抜群です。
加熱に弱いので、仕上げに加えるのがコツ。
◎ ミント
清涼感の代表格。 ペパーミント、スペアミントなど種類が豊富です。
繁殖力が非常に強いので、庭に植えるときは鉢で。
◎ オレガノ
トマト料理やピザに欠かせない、力強い香り。
乾燥させるほうが、香りが立つという珍しい性質を持ちます。
◎ セージ
少し渋みのある、大人の香り。 肉料理の臭み消しに。
◎ タイム
清々しく、すっきり。 スープや煮込みに。
◎ ローズマリー
記憶のハーブとも呼ばれる、鮮烈な香り。 鶏肉やじゃがいもに。
◎ レモンバーム
やわらかいレモンの香り。 ハーブティーに向いています。
暮らしへの取り入れ方
◎ 生のまま、仕上げに
バジル、ミント、レモンバームは、加熱すると香りが飛びます。
料理の最後に散らすのがおすすめです。
◎ 乾燥させて、煮込みに
オレガノ、タイム、ローズマリー、セージは、加熱に強いタイプ。
煮込みや焼き物に向いています。
◎ 香りだけ楽しむ
摘んで、手のひらでこすってみてください。
それだけで、気分が変わります。
忙しい日の、いちばん手軽なセルフケアかもしれません。
シソ科と、40代の暮らし
香りは、思考より先に心に届きます。
「疲れたな」と感じたとき、頭で考えるより、香りを吸い込むほうが早い ―
そんな瞬間に、シソ科のハーブは頼りになります。
2. セリ科 ― 消化を助ける”気づかい上手”
食後の不快感に、そっと寄り添う
セリ科は、消化を助ける働きで知られる一族です。
パセリ、ディル、クミン、コリアンダー、フェンネル、アニス、ミツバ、セロリ ―
料理の脇役に見えて、実は体を支えている ―
まさに”気づかい上手”です。
特徴は「種子も使う」こと
シソ科が葉を使うのに対し ―
セリ科は、種子(シード)を使うものが多いのが特徴です。
クミンシード、コリアンダーシード、フェンネルシード、アニスシード ―
カレーやスパイス料理で活躍するのは、この仲間たちです。
代表的なメンバー
◎ フェンネル
甘く爽やかな香り。 食後に噛むと、口の中がすっきりします。
インド料理店の出口に置かれている、あの色とりどりの粒がフェンネルシードです。
◎ クミン
カレーの香りの主役。 エスニックな香りの正体は、たいていクミンです。
◎ コリアンダー
葉はパクチー、種子はコリアンダー ― 同じ植物です。
香りがまったく違うのが面白いところ。
◎ ディル
魚料理と好相性。 サーモンのマリネには、これ。
◎ パセリ
添え物と思われがちですが、栄養価が非常に高いハーブです。
◎ アニス
甘い香り。 お菓子やリキュールに使われます。
◎ ミツバ
日本のセリ科。 お吸い物や茶碗蒸しに欠かせません。
暮らしへの取り入れ方
◎ 食後のフェンネルシード
ひとつまみ、そのまま噛む。
口の中がすっきりして、食後の重さも軽くなる気がします。
◎ スープにクミンをひとつまみ
いつものスープが、一気にエスニックに。
◎ パセリは、刻んで冷凍
買ってきたら刻んで冷凍しておくと、いつでも使えます。
彩りにも、栄養にも。
注意したいこと
セリ科は、アレルギーを起こすことがあります。
セロリアレルギーのある方は、同じ科のスパイスにも反応する場合があります。
※妊娠中の方は、フェンネルやアニスの多量摂取を避けるほうが安心とされています。
3. ショウガ科 ― 体を温める”情熱家”
冷えに、いちばん頼りになる一族
ショウガ科は、体を温める働きで知られています。
ジンジャー(生姜)、ターメリック(ウコン)、カルダモン、ガランガル ―
熱帯の植物でありながら、日本の冷えた体を温めてくれる ― そんな存在です。
使うのは「根茎」
ショウガ科は、地下の根茎(こんけい)を使います。
葉でも種でもなく、土の中の部分。
大地のエネルギーを蓄えた部分を、私たちはいただいているわけです。
代表的なメンバー
◎ ジンジャー(生姜)
日本人にいちばん馴染み深いスパイスでしょう。
生と乾燥で、働きが変わるとされています。
- 生の生姜 ― ジンゲロールが主成分。殺菌作用が知られる
- 加熱・乾燥した生姜 ― ショウガオールに変化。体を温める働きが強まるとされる
冷えが気になるときは、加熱して使うのがおすすめです。
◎ ターメリック(ウコン)
カレーの黄色の正体。 クルクミンという成分を含みます。
土のような、独特の香り。 単体では使いにくいので、他のスパイスと合わせるのがコツです。
◎ カルダモン
「スパイスの女王」と呼ばれる、高貴な香り。
チャイに欠かせません。 さやを軽くつぶして使います。
暮らしへの取り入れ方
◎ 冷えた日の、生姜湯
すりおろした生姜に、お湯とはちみつ。
シンプルですが、いちばん確実です。
◎ カルダモン入りのチャイ
紅茶に、つぶしたカルダモンを1〜2粒。
牛乳や豆乳で煮出すと、香りが引き立ちます。
◎ ターメリックは、油と一緒に
クルクミンは、脂溶性とされています。
油で炒めてから使うと、なじみやすくなります。
注意したいこと
ターメリック(ウコン)は、肝臓に関する報告があります。
サプリメントなど高濃度のものを摂る場合は、注意が必要です。
※肝機能に不安のある方、服薬中の方は、医師にご相談ください。
料理に使う程度の量であれば、一般的には問題ないとされています。
4. ナス科 ― 食卓を華やかにする”ムードメーカー”
色と辛味で、元気をくれる
ナス科と聞くと、なす、トマト、じゃがいもを思い浮かべるかもしれません。
スパイスの世界でも、この一族は活躍しています。
チリペッパー(唐辛子)、パプリカ、カイエンペッパー ―
赤い色と、刺激 ― 食卓のムードメーカーです。
辛味の正体は「カプサイシン」
唐辛子の辛味成分は、カプサイシンです。
この成分は、体を温め、代謝を活発にするとされています。
面白いのは ―
パプリカには、この辛味成分がほとんどないこと。
同じナス科でも、辛いものと辛くないものがあるのです。
代表的なメンバー
◎ チリペッパー(唐辛子)
辛味の代表。 種類は世界に数千種あるとも言われます。
日本の鷹の爪、韓国の粉唐辛子、メキシコのハラペーニョ ―
同じ「唐辛子」でも、辛さも風味もまったく違います。
◎ パプリカ(粉末)
辛くないのに、色と甘い香りをつけてくれる優秀なスパイス。
料理に赤みを足したいときに重宝します。
ハンガリー料理には欠かせません。
◎ カイエンペッパー
細かく挽いた辛味の強い唐辛子。 少量で効きます。
暮らしへの取り入れ方
◎ パプリカパウダーで、彩りを
卵料理、じゃがいも、鶏肉 ―
ふりかけるだけで、料理が華やかに。
辛くないので、お子さんがいても安心です。
◎ 唐辛子は「少量から」
辛味は、後から足せますが、引けません。
まず少量、味を見ながらが鉄則です。
◎ 油に移して使う
辛味成分は、油に溶けやすいとされています。
炒め油に唐辛子を入れて、香りと辛味を移す ― ペペロンチーノの技法ですね。
注意したいこと
胃腸が弱っているとき、辛味は刺激になります。
食べ過ぎると、胃の粘膜に負担がかかることも。
「元気なときに、少しだけ」 ― この距離感が、ちょうどいいと思います。
5. コショウ科 ― ピリッと刺激の”行動派”
世界を動かしたスパイス
コショウは、かつて「黒い黄金」と呼ばれ、同じ重さの金と交換された時代がありました。
大航海時代の原動力にもなった、歴史を動かしたスパイスです。
ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ロングペッパー(ヒハツ) ―
ピリッとした刺激で、料理も気分も引き締める”行動派”です。
黒と白の違い
同じ実から、違う色ができます。
| 収穫時期 | 加工 | 風味 | |
|---|---|---|---|
| 黒こしょう | 未熟な実 | 皮ごと乾燥 | 香りが強く、力強い |
| 白こしょう | 完熟した実 | 皮を除いて乾燥 | まろやかで上品 |
魚や白身の料理には白、肉には黒 ― そんな使い分けもあります。
代表的なメンバー
◎ ブラックペッパー
もっとも汎用性の高いスパイス。
挽きたてが、圧倒的においしいのが特徴です。
ミルで挽く習慣を持つだけで、料理の質が上がります。
◎ ホワイトペッパー
色をつけたくない料理に。ポタージュや白身魚のソテーに。
◎ ロングペッパー(ヒハツ)
細長い形をした、東南アジア原産のこしょう。
日本では、沖縄の「ヒハツモドキ」が知られています。
血流に関わる成分が注目されており、冷え対策として使われることもあります。
暮らしへの取り入れ方
◎ 挽きたてを使う
こしょうの香り成分は、揮発しやすいとされています。
あらかじめ挽いたものは、香りが飛んでいることも。
ミルを1つ持つだけで、味が変わります。
◎ 仕上げに、ひと挽き
加熱しすぎると香りが飛ぶので、最後に加えるのがコツです。
◎ 塩分を減らしたいときに
こしょうの刺激があると、塩が少なくても物足りなさを感じにくい ―
減塩したい方には、心強い味方です。
6. フトモモ科 ― 甘く深い”包容力タイプ”
冬の香りの、主役
「フトモモ科」という名前は、あまり聞き慣れないかもしれません。
でも ―
クローブ(丁子)、オールスパイス、そしてユーカリやティートゥリーも、この仲間です。
甘くて深く、包み込むような香り ―
冬のドリンクやお菓子に、欠かせない存在です。
クローブは「花のつぼみ」
クローブは、開く前の花のつぼみを乾燥させたもの。
小さな釘のような形をしているので、日本では「丁子(ちょうじ)」と呼ばれます。
英語の「clove」も、釘を意味するラテン語が語源とされています。
代表的なメンバー
◎ クローブ
濃厚で甘い、独特の香り。
非常に強いので、使うのは1〜2粒で十分です。
歯科医院のような香りを感じる方もいるかもしれません。実際、古くから歯の痛みに使われてきた歴史があります。
◎ オールスパイス
「シナモン、クローブ、ナツメグを合わせたような香り」から、この名前がつきました。
1つで複数のスパイスの役割を果たすので、スパイス初心者にもおすすめです。
暮らしへの取り入れ方
◎ ホットワインやチャイに
クローブを1〜2粒、丸ごと。
煮出すと、部屋中に冬の香りが広がります。
◎ 焼きりんごに
りんごにクローブを刺して焼く ― 定番の組み合わせです。
◎ ポマンダーという飾り
オレンジにクローブを刺して乾燥させた飾りを、ポマンダーと言います。
魔除けやお守りとして、ヨーロッパで作られてきました。
香りが長く続くので、クローゼットに吊るすのもおすすめです。
注意したいこと
クローブは、香りも成分も非常に強いスパイスです。
精油を肌に使う場合は、特に慎重に。
※妊娠中の方、小さなお子さんへの使用は、避けるほうが安心とされています。
7. クスノキ科 ― 記憶と癒しの”穏やかさん”
樹皮と葉から生まれる香り
クスノキ科は、木の仲間です。
シナモン(桂皮)、ローリエ(月桂樹)、クスノキ ―
樹皮や葉から、穏やかで深い香りが生まれます。
主張しすぎず、料理全体を静かに支える”穏やかさん”です。
シナモンは「樹皮」
シナモンは、木の皮を乾燥させたもの。
丸まった棒状(スティック)になっているのは、乾燥するときに自然に巻いていくからです。
代表的なメンバー
◎ シナモン
実は、2つの種類があります。
| セイロンシナモン | カシア | |
|---|---|---|
| 産地 | スリランカ | 中国・ベトナム |
| 風味 | 繊細で上品 | 濃厚で甘い |
| 価格 | 高め | 手頃 |
日本で「シナモン」として売られているものの多くは、カシアです。
※カシアには「クマリン」という成分が含まれ、多量摂取で肝臓に負担がかかる可能性が指摘されています。
日常的に大量に摂る場合は、セイロンシナモンを選ぶという選択肢もあります。
◎ ローリエ(月桂樹)
煮込み料理に、1枚。
それだけで、味に奥行きが出ます。
入れっぱなしにすると苦味が出るので、煮込み終わったら取り出すのがコツです。
古代ギリシャでは、勝者の冠に使われました。
暮らしへの取り入れ方
◎ シナモンは、コーヒーやミルクに
ひとふりで、体が温まる感じがします。
◎ ローリエは、常備しておく
カレー、シチュー、ポトフ、ピクルス ―
1枚あるだけで、料理が本格的になります。
◎ 香りで、記憶を呼び覚ます
シナモンの香りは、記憶と結びつきやすいと言われます。
子どもの頃のお菓子、旅先のカフェ ―
香りが、時間を超えて何かを連れてくることがあります。
8. ニクズク科 ― 味を支える”控えめな達人”
ひとつの実から、2つのスパイス
ニクズク科は、ナツメグとメースを生む一族です。
面白いのは ―
この2つが、同じ果実から採れるということ。
| ナツメグ | メース | |
|---|---|---|
| 部位 | 種子(仁) | 種子を包む網状の皮 |
| 風味 | 甘く、濃厚 | 繊細で上品 |
| 価格 | 手頃 | 高価 |
メースは採れる量が少ないため、ナツメグより高価になります。
代表的なメンバー
◎ ナツメグ
ハンバーグに欠かせないスパイスとして知られています。
肉の臭みを消し、コクを出す ― まさに”控えめな達人”。
主役ではないけれど、なければ物足りない存在です。
ホワイトソースやポテト料理にも合います。
◎ メース
ナツメグより繊細で、上品な香り。
魚介や、白い料理に向いています。
暮らしへの取り入れ方
◎ ハンバーグに、ひとふり
入れるか入れないかで、味がまったく違います。
「なんとなく物足りない」というとき、ナツメグが足りていないかもしれません。
◎ ホワイトソースに
グラタンやシチューに、ほんの少し。
◎ 挽きたてが、格別
ナツメグは、丸ごと(ホール)で売られていることもあります。
専用のおろし器で削ると、香りがまったく違います。
注意したいこと
★ナツメグは、多量摂取に注意が必要なスパイスです。
一度に大量に摂ると、めまいや吐き気などの症状が出ることが報告されています。
料理に使う程度(小さじ1/4以下)であれば問題ありませんが ―
「たくさん入れれば美味しくなる」という種類のスパイスではないことを、覚えておいてください。
※妊娠中の方は、多量摂取を避けるほうが安心とされています。
9. アブラナ科 ― ピリリと効く”デトックス担当”
鼻に抜ける、あの刺激
わさび、マスタード(からし)、ホースラディッシュ(西洋わさび)、大根 ―
アブラナ科の辛味は、唐辛子とはまったく違います。
舌ではなく、鼻に抜ける刺激 ―
これが、アブラナ科の特徴です。
辛味の正体は「アリルイソチオシアネート」
面白いのは ―
すりおろす前は、辛くないということ。
細胞が壊れることで、酵素が働き、辛味成分が生まれるのです。
だから、わさびは「すりおろしてすぐ」がいちばん辛い。
時間が経つと、辛味が飛んでしまいます。
代表的なメンバー
◎ わさび
日本が誇る、香辛料。
本わさびと、西洋わさび(ホースラディッシュ)を使った練りわさびがあります。
原材料表示を見ると、違いが分かります。
◎ マスタード(からし)
種子をすりつぶしたもの。
和がらしは辛味が強く、洋がらし(マスタード)はマイルドな傾向があります。
◎ ホースラディッシュ
「西洋わさび」とも呼ばれます。
ローストビーフの定番の付け合わせですね。
暮らしへの取り入れ方
◎ すりおろしたら、すぐ使う
時間が経つと、香りも辛味も飛びます。
◎ 加熱しない
熱で辛味成分が壊れるので、仕上げに添えるのが基本です。
◎ 抗菌の知恵として
わさびが刺身に添えられるのは、抗菌作用があるからだと言われています。
お弁当の仕切りにわさびシートを使うのも、同じ考え方です。
アブラナ科野菜という、大きな家族
実は、アブラナ科には野菜も多く含まれます。
ブロッコリー、キャベツ、大根、かぶ、小松菜、菜の花、白菜 ―
これらに含まれる成分が、健康の面から注目されているという話を聞いたことがあるかもしれません。
スパイスも野菜も、同じ家族 ― そう思うと、食卓の見え方が変わります。
10. ミカン科 ― 爽やかな”前向きリーダー”
朝に、いちばん似合う香り
ゆず、レモン、オレンジ、山椒、花椒、カフィアライム ―
ミカン科は、爽やかで明るい香りが特徴です。
気持ちを切り替えたいとき、前を向きたいとき ―
この香りが、いちばん助けてくれます。
「柑橘」だけではない
意外に思われるかもしれませんが ―
山椒も、花椒も、ミカン科です。
あの独特のしびれる感覚は、柑橘とはまったく違いますが ―
よく嗅ぐと、爽やかな柑橘の香りが隠れています。
代表的なメンバー
◎ ゆず
日本を代表する香り。
皮に香りが集中しているので、すりおろして使うのが効果的です。
◎ 山椒
日本のスパイス。 うなぎに欠かせません。
「木の芽」は、山椒の若葉です。
◎ 花椒(ホアジャオ)
中国の四川料理に使われる、しびれる辛味。
麻婆豆腐の「痺れ」の正体です。
山椒とは別の種類で、より強い刺激があります。
◎ オレンジピール
オレンジの皮を乾燥させたもの。
ハーブティーにブレンドすると、甘く華やかな香りに。
◎ カフィアライム(バイマックルー)
東南アジア料理に使われる、独特の柑橘葉。
トムヤムクンやグリーンカレーに。
日本では手に入りにくいので、柚子胡椒で代用するという方法もあります。
暮らしへの取り入れ方
◎ 朝の一杯に、皮を少し
白湯やお茶に、ゆずの皮をひとかけら。
それだけで、朝の空気が変わります。
◎ 塩と合わせる
ゆず塩、レモン塩 ―
簡単に作れて、料理の幅が広がります。
◎ 香りだけ楽しむ
皮をむくときの香り ― あれも、立派なセルフケアです。
注意したいこと
★柑橘系の精油には「光毒性」があるものがあります。
肌につけた状態で紫外線を浴びると、シミや炎症の原因になることがあります。
ベルガモット、レモン、グレープフルーツなどは、日中の使用を避けるか、光毒性を除去した製品を選んでください。
※詳しくは、精油の安全な使い方をまとめた記事もご覧ください。
11. キク科・ユリ科 ― やさしく癒す”母性の人”/暮らしに寄り添う”友達タイプ”
最後は、性格の違う2つの科をご紹介します。
キク科 ― やさしく癒す”母性の人”
カモミール、タラゴン、よもぎ、カレンデュラ、エキナセア ―
キク科は、癒しのハーブが多い一族です。
「マザーハーブ」と呼ばれるカモミールが象徴するように ―
包み込むような、やさしさが持ち味です。
代表的なメンバー
◎ カモミール
りんごのような甘い香り。
眠る前のハーブティーとして、世界中で親しまれています。
◎ よもぎ
日本のキク科。 草餅、お灸、よもぎ蒸し ―
古くから、女性の体をいたわる植物として使われてきました。
◎ タラゴン
フランス料理に欠かせないハーブ。
甘く上品な香りで、魚や鶏肉に合います。
「エストラゴン」とも呼ばれます。
注意したいこと
★キク科アレルギーのある方は、注意が必要です。
ブタクサ、よもぎ、菊などにアレルギーがある方は ―
カモミールやカレンデュラでも、症状が出ることがあります。
初めて使う場合は、少量から試してください。
ユリ科 ― 暮らしに寄り添う”友達タイプ”
にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら、らっきょう、アスパラガス ―
※分類上は、現在「ヒガンバナ科ネギ亜科」などに再分類されていますが、慣習的にユリ科として扱われることも多い一族です。
毎日の料理に、当たり前のようにある存在 ―
まさに、暮らしに寄り添う”友達タイプ”です。
香りの正体
にんにくや玉ねぎを切ると涙が出るのは、硫化アリルという成分のため。
この成分が、独特の香りと風味を生んでいます。
※加熱すると、香りも成分も変化します。
代表的なメンバー
◎ にんにく
世界中の料理で使われる、最強の風味づけ。
生と加熱で、まったく別の顔を見せます。
◎ 玉ねぎ
加熱すると甘くなるのが特徴。
炒める時間で、味がまったく変わります。
◎ にら、ねぎ
日本と東アジアの食卓に欠かせない存在。
暮らしへの取り入れ方
◎ にんにくは、切り方で変わる
- 丸ごと ― 香りは穏やか
- 薄切り ― 中程度
- すりおろし ― いちばん強い
料理に合わせて、切り方を変えると使いやすくなります。
◎ 玉ねぎは、じっくり炒める
時間はかかりますが、甘みがまったく違います。
まとめて作って冷凍しておくと便利です。
注意したいこと
にんにくの生食は、胃腸に刺激になることがあります。
空腹時や、胃腸が弱っているときは控えめに。
まとめ ― 科名を知ると、選び方が変わる
11の科をめぐってきました。
シソ科は香りで癒やし、セリ科は消化を助け、ショウガ科は体を温める。
ナス科は彩りを、コショウ科は刺激を、フトモモ科は深みを。
クスノキ科は穏やかに、ニクズク科は静かに支え、アブラナ科は目覚めさせる。
ミカン科は前を向かせ、キク科は癒し、ユリ科は日常に寄り添う。
なぜ、科名を知ると便利なのか
理由は3つあります。
◎ 代用が効く
同じ科のものは、性質が似ています。
「バジルがない」というとき、同じシソ科のオレガノやタイムで代用できることがあります。
◎ 組み合わせが分かる
科が違うものを組み合わせると、味に立体感が出ます。
シソ科(香り)+セリ科(種子)+ショウガ科(温め) ―
カレーのスパイス構成は、まさにこれです。
◎ アレルギーに気づける
「セロリでかゆくなる」なら、同じセリ科のスパイスにも注意が必要かもしれません。
科名を知っていると、こうした関連に気づけます。
覚えなくても、大丈夫
とはいえ、すべてを暗記する必要はありません。
「あれ、何科だっけ?」と思ったときに、このページを開いていただければ十分です。
そして、こんなふうに思ってみてください。
「今日は、おしゃべり上手(シソ科)に頼ろう」
「食後だから、気づかい上手(セリ科)を」
「冷えるから、情熱家(ショウガ科)の出番」
性格で覚えると、不思議と使いこなせるようになります。
台所に並ぶ小さな瓶たちが、少しだけ親しく感じられますように。
※本記事は一般的な情報のご紹介です。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、服薬中の方は、ハーブやスパイスの多量摂取について医師や薬剤師にご相談ください。 アレルギー体質の方は、初めて使うものは少量から試してください。体調に変化を感じた場合は、使用を中止してください。
※あわせて読みたい:効能で選びたい方は季節の不調をいたわるハーブ図鑑・心と眠りを整えるハーブ図鑑へ。精油の安全な使い方は精油と安全に付き合うためのガイド、調味料の役割は調味料「さしすせそ」使い方ガイドもどうぞ。
