年に1回の健康診断。結果を開いて、まず目に入ったのは「要精密検査」という文字でした。
正直なところ、大きなショックはありませんでした。私は20代の頃から、ほぼ毎年のように貧血を指摘されてきたからです。
これまで何度か医療機関を受診しました。そのたびに言われるのは、決まって同じ言葉。「食事で鉄分を意識してください」
薬が必要なほどではない。経過観察で大丈夫。そう言われると、どこか安心してしまい、「また今年も同じだったな」と結果をそっと閉じてきました。
でも、気をつけている”つもり”なのに、数値はほとんど変わらない。その違和感を、長いあいだ見過ごしてきた気がします。
- 40代になって、体の声がはっきり聞こえるように
- この記事について ― はじめにお伝えしたいこと
- この完全版の内容
- だるさ・冷え・息切れの正体
- 「数値」と「体感」のズレ
- 軽度でも、続くことの意味
- 数値は、敵ではなくヒント
- 内科の先生の、あっさりした一言
- 妊娠・出産・授乳という時期
- 40代以降に起こりやすい変化
- 「体質」で片付けない視点
- ① 鉄欠乏性貧血 ― もっとも身近なタイプ
- ② 「隠れ貧血」と呼ばれる状態
- ③ 吸収がうまくいっていない場合
- タイプを知ることは、自分を責めないための整理
- 鉄は主役。でも、ひとりでは働けない
- たんぱく質という「材料」
- 葉酸とビタミンB12という「設計図」
- 亜鉛という裏方
- どれか欠けると、回らない
- 吸収されやすい鉄、されにくい鉄
- ビタミンCと有機酸の力
- お茶・コーヒーとの付き合い方
- 甘いもの・加工食品との距離
- 胃腸が弱りやすい生活習慣
- 胃腸をいたわる食べ方
- 1日3食を、安定させる
- 「毎日レバー」じゃなくていい理由
- 私の基本形
- 血を育てる、暮らしのリズム
- コンビニ・外食での選び方
- 間食は「小さな補給」になる
- まとめ ― 治すより、育て直す
40代になって、体の声がはっきり聞こえるように
40代に入ってから、体の反応が変わりました。疲れが抜けにくい。冷えが残る。回復に時間がかかる ―。
「年齢のせい」と片づけることもできたけれど、どこかで、これまでとは違うサインだと感じていました。
血流を整えることをテーマに書いてきた今、ふと気づいたのです。流れを整えるだけでなく、その中を流れる”血そのもの”を育てる必要があるのではないかと。
今回の健診結果を受けて、内科を受診し、通っている鍼灸院の先生にも相談してみました。すると返ってきたのは、「鉄が足りないかどうか」だけではなく、「血をつくり、巡らせ、保つ力が今どうなっているか」という視点でした。
東洋医学では、血は単独で存在するものではなく、消化吸収・巡り・休息など、暮らし全体の影響を受けながら育つものとして捉えられます。その考え方に、私はとても腑に落ちるものを感じました。
この記事について ― はじめにお伝えしたいこと
この記事は、治療法をお伝えするものではありません。
貧血は、原因によって必要な対応がまったく異なります。婦人科系の疾患や消化管の出血など、治療が必要な病気が背景にあることもあります。だからこそ ―
◎ まずは医療機関で検査を受けてください。 健診で指摘された方、症状が気になる方は、必ず受診を。この記事は、医師の診断と指導を土台にしたうえで、日常でできることをまとめたものです。
◎ 鉄剤やサプリメントの自己判断での使用は避けてください。 鉄は、必要のない人が摂りすぎると負担になることがあります。必ず医師に相談を。
◎ ここに書くのは、私の記録です。 数値も体感も個人差が大きいものです。「こんな向き合い方もある」という一つの例として読んでいただけたらうれしいです。
そのうえで ― 血は、数日で増えるものではありません。食べたもの。眠り方。体を緊張させすぎていないか。そうした日々の積み重ねが、静かに血をつくっていきます。
40代の体に必要なのは、即効性よりも、続けられる整え方。
この完全版の内容
| 章 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 1. 貧血とは、何が起きている状態か | 数値を、体感に落とし込む |
| 2. なぜ女性は貧血になりやすいのか | 月経・出産・40代の変化 |
| 3. 私はどのタイプ? | 鉄欠乏・隠れ貧血・吸収不良 |
| 4. 血は”チーム”でつくられる | 鉄だけでは足りなかった |
| 5. 「とる」から「届かせる」へ | 吸収される食べ方 |
| 6. 胃腸という土台 | 吸収できてこそ意味がある |
| 7. 毎日の食卓の基本形 | 毎日レバーじゃなくていい |
| 8. 忙しい日と、間食の整え方 | 完璧を目指さない |
1. 貧血とは、何が起きている状態か
健康診断でよく見る項目に、ヘモグロビン値、赤血球数、ヘマトクリット値があります。
ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身に運ぶ役割を担っています。そのヘモグロビンを抱えているのが、赤血球。
つまり、血は「栄養」だけでなく、「酸素」も運んでいる存在です。このどちらかが不足すると、体のすみずみまで酸素が行き届きにくくなり、私たちは不調としてそれを感じ始めます。
だるさ・冷え・息切れの正体
私自身、「これは貧血のせいだ」とはっきり思っていなかった症状が、あとから振り返ると、すべてつながっていました。
- 朝起きても疲れが残っている
- 体は温かいのに、内側が冷えている感じ
- 階段や坂道で息が上がりやすい
これらはすべて、酸素が十分に届いていないときに起こりやすい反応だそうです。
40代の体は、無理をすれば動けてしまう分、不調を「気のせい」にしやすい。でも、だるさや冷えは、体からの静かなサインだったのだと思います。
「数値」と「体感」のズレ
貧血というと「血が足りない=量の問題」と思われがちですが、実際には少し違います。運ぶ力が足りない。巡るスピードが落ちている。必要な場所まで届いていない ― そんな状態が重なった結果として、数値に「貧血」と表れることも多いのです。
だから、軽度の数値でも体がつらい人がいれば、数値ほどの不調を感じない人もいる。40代になると、この“体感と数値のズレ”が、以前よりも大きくなってくるように感じます。
軽度でも、続くことの意味
「軽度だから様子見でいいですよ」 ― そう言われることが多い貧血ですが、私が気になっているのは“軽度のまま、何年も続くこと”です。
慢性的に続いた場合、影響は静かに、広く現れることがあります。
◎ 慢性疲労 ― 酸素が十分に行き渡らない状態が続くと、体は常に”最低限のエネルギー”で動こうとします。結果として、回復に時間がかかりやすくなる。
◎ 自律神経やホルモンへの影響 ― 貧血が続く状態は、体にとって小さなストレスがかかり続けている状態でもあります。寝つきが悪い、夜中に目が覚める、気分が落ち着かない ― こうした変化の一因になっていることがあります。
◎ 肌・髪・爪 ― 私が強く実感したのは、この”外側の変化”でした。肌がくすみやすい。髪にハリが出にくい。爪が割れやすく、筋が目立つ ― これらはすべて、体の中で優先順位が後回しになりやすい部分です。外からどんなに整えても思うように変わらなかった理由が、内側にあったと気づきました。
※ただし、これらの症状は貧血以外の原因でも起こります。「貧血のせい」と自己判断せず、気になる症状は医療機関で相談してください。 また、経過観察と言われた場合も、指示された間隔での再検査を必ず受けてください。
数値は、敵ではなくヒント
このシリーズを書きながら、私の中で大きく変わったのは、数値の受け止め方でした。
良い・悪いで判断するのではなく、今の体の状態を知るためのヒントとして見る。西洋医学の数値と、東洋医学の体の感覚。その両方を照らし合わせることで、ようやく「自分の貧血」が立体的に見えてきた気がします。
2. なぜ女性は貧血になりやすいのか
貧血は、ある日突然起こる不調ではありません。女性として生きる中で経験してきた生理、妊娠・出産、そして40代以降の体の変化。 それらが静かに積み重なった結果として、今、体に表れてくることが多いのです。
内科の先生の、あっさりした一言
健診で「要精密検査」と出たことをきっかけに、内科を受診しました。そのとき、先生が淡々とこう言われたのです。
「女性は毎月出血がありますよね。だから鉄が失われやすい。理論上は、閉経すれば貧血は起きにくくなりますよ」
とてもあっさりした言葉でしたが、私の中では不思議と腑に落ちました。
貧血は体質でも、気合いの問題でもなく、体の仕組みとして起きていること。 そう理解できた瞬間でした。
月経のたびに、体の中の鉄は少しずつ外へ出ていきます。若い頃は、食事や回復力で自然に補えていたものも、年齢とともに追いつきにくくなっていく。
※ここで大切なこと。 月経量が多い、期間が長い、だらだら続く ― こうした状態がある場合は、子宮筋腫などの婦人科疾患が背景にあることもあります。 「生理が重いのは体質」と考えず、一度婦人科で相談してください。 原因の治療が、いちばんの貧血対策になることがあります。
妊娠・出産・授乳という時期
女性の体は、人生の中で何度も「血を分け与える時期」を経験します。
妊娠中は、自分の体だけでなく、お腹の中の命のために血液が使われます。出産では出血があり、産後も回復途中のまま授乳が始まる。
この時期は鉄が不足しやすい状態が続きますが、育児や生活に追われ、自分の体のことは後回しになりがちです。「疲れているのは当たり前」そう思いながら、十分に回復しきらないまま次の人生ステージへ進んでいる女性も、少なくないのではないでしょうか。
40代以降に起こりやすい変化
40代に入ると、月経のリズムそのものが変わり始めます。周期が不安定になる。量が増える、または減る。だらだらと続く ―。
とくに過多月経は、鉄の消耗が一気に進みやすい状態です。
「まだ生理がある=大丈夫」ではなく、「どんな生理か」を見ていくことが、この時期にはとても大切になります。
さらに、ホルモンバランスの変化は、鉄の吸収や利用にも影響を与えます。今までと同じ生活をしていても、同じように補えなくなってくる ― それが、40代以降の体の現実なのだと感じています。
「体質」で片付けない視点
貧血を「昔からだから」「体質だから」と片付けてしまうと、今の体が出しているサインを見逃してしまいます。
けれど、女性の体はこれまで、毎月血を失い、命を育て、家庭や社会を支え、年齢による変化を受け入れてきました。
貧血は、弱さではなく、「よくここまで頑張ってきた体」の結果。
そう捉えるようになってから、自分の体を見る目が、少しやさしくなりました。
3. 私はどのタイプ? ― 貧血の種類を整理する
一口に貧血と言っても、原因やタイプはひとつではありません。
※以下は一般的な分類の紹介です。実際にどのタイプかは、血液検査でなければ分かりません。 自己判断ではなく、医療機関での確認をお願いします。
① 鉄欠乏性貧血 ― もっとも身近なタイプ
血液をつくるために必要な鉄が足りず、ヘモグロビンの値が下がってしまう状態。月経量が多い、長年生理が続いている、妊娠・出産・授乳の経験がある ― こうした背景が重なる女性にとって、とても身近な貧血タイプです。
② 「隠れ貧血」と呼ばれる状態
検査では「正常範囲」と言われたのに、体はしんどいまま ― そんなケースもあります。
ヘモグロビンは保たれていても、体内に蓄えられている鉄(貯蔵鉄)が少ない状態を指すことがあると言われています。疲れやすい、動悸がする、集中力が続かない ― そんな不調があっても、「異常なし」で終わってしまうことも。
ただしこれは、医療的な診断名ではなく、一つの捉え方です。 必要以上に不安になるのではなく、体の変化に気づくきっかけとしてやさしく受け止めることが大切だと感じています。
なお、貯蔵鉄の状態はフェリチンという項目で調べられることがあります。気になる場合は、医師に相談してみるという選択肢もあります(検査の必要性は医師が判断します)。
③ 吸収がうまくいっていない場合
鉄を含む食事を意識していても、胃腸の調子、ストレス、ホルモンバランスの変化などで、うまく吸収・利用できていないことがあります。
「ちゃんと食べているのに、改善しない」 ― そんな場合は、量ではなく”使われ方”に目を向ける必要があるのかもしれません。
タイプを知ることは、自分を責めないための整理
こうして整理してみると、私自身は「このタイプ」とひとつに決めきれない感覚があります。長年の月経による消耗、数値には出にくい慢性的な不足、吸収しづらくなっている可能性 ― おそらく、いくつかが重なり合った状態。
でもそれは、「複雑だから難しい」ということではなく、「これまでの体の歩みが反映されている」というだけなのだと思います。
タイプを知ることは、「私はダメだ」と判断するためではありません。むしろ、「今の私は、どんな状態なんだろう?」と体に問いかけるための整理です。
4. 血は”チーム”でつくられる ― 鉄だけでは足りなかった
「鉄をとりましょう」 ― 貧血といえば、まず浮かぶこの言葉。私も長いあいだ、鉄さえ補えばいいと思っていました。
レバーを食べる。鉄入りの食品を選ぶ ― けれど思ったほど、体は軽くなりませんでした。
そのとき、ようやく気づいたのです。血は、鉄ひとつでつくられているわけではない。”チーム”で動いているのだと。
鉄は主役。でも、ひとりでは働けない
鉄は、ヘモグロビンの材料。酸素を全身に運ぶために欠かせない存在です。けれど鉄は、単独では血液になれません。 材料があっても、組み立てる力がなければ形にならない ― 私はそこを見落としていました。
たんぱく質という「材料」
血液は、たんぱく質からできています。ヘモグロビンも、鉄+たんぱく質で構成されています。
鉄だけを増やしても、土台となるたんぱく質が不足していれば、うまく作られません。
朝はコーヒーだけ。昼は軽く栄養バーで済ます。夜も量が少なめ ― そんな日が続くと、知らないうちに材料不足になります。
40代は、食が細くなりやすい時期。「ちゃんと食べているつもり」が、足りていないこともあると気づきました。
葉酸とビタミンB12という「設計図」
葉酸とビタミンB12は、赤血球を“正しく成熟させる”ために必要な栄養素です。どちらかが不足すると、大きく未熟な赤血球ができてしまい、うまく酸素を運べません。
疲れやすさや息切れは、鉄不足だけが原因とは限らない。血を育てるための設計図が、うまく働いていない可能性もあるのです。
年齢を重ねると、胃の働きがゆるやかに低下し、B12の吸収が落ちることもあると言われています。
亜鉛という裏方
亜鉛は、細胞分裂やたんぱく質合成に関わるミネラル。血をつくる過程でも、静かに支えています。不足すると、食欲低下や免疫力の低下にもつながり、全体のバランスが崩れやすくなります。
鉄ほど注目されないけれど、いないと回らない。 チームの”縁の下の力持ち”のような存在です。
どれか欠けると、回らない
鉄。たんぱく質。葉酸。ビタミンB12。亜鉛 ― どれかひとつを極端に増やしても、全体が整わなければ、血づくりはうまく回りません。
それはまるで、歯車のかみ合わせのよう。ひとつでも欠けると、音を立てて止まってしまう。
そこから私は、「鉄をとる」から「血を育てる食事をする」へと視点を変えました。主菜を抜かない。野菜や豆類を組み合わせる。極端な制限をしない ― 食事を”栄養素単体”で見るのではなく、一皿のバランスで考える。
40代からの貧血ケアは、足し算ではなく、整え直すこと。
5. 「とる」から「届かせる」へ ― 吸収される食べ方
鉄を意識するようになってから、私はずっと「量」を気にしていました。でも、あるとき気づいたのです。
とることと、吸収されることは、同じではない。
吸収されやすい鉄、されにくい鉄
鉄には、大きく分けて2種類あります。動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」。ヘム鉄は比較的吸収率が高く、非ヘム鉄は吸収されにくいと言われています。
でも大切なのは、種類だけではありません。胃腸の状態。一緒に食べるもの。体全体のバランス ―。
40代は、胃酸の分泌がゆるやかに低下することもあり、「食べているのに吸収されにくい」ことが起こりやすい時期。だからこそ、“どう組み合わせるか”が鍵になります。
ビタミンCと有機酸の力
非ヘム鉄の吸収を助ける代表が、ビタミンC。野菜や果物に含まれるこの栄養素は、鉄を吸収しやすい形に変えてくれます。
- ほうれん草+レモン
- 小松菜+柑橘類
- 豆料理+パプリカ
ほんの少しの組み合わせで、吸収率は変わります。また、酢や梅干しなどの”有機酸”も、鉄の吸収をサポートすると言われています。
私は、鉄を意識した食事の日ほど、副菜に酸味を添えるようになりました。それだけで、「とる」から「届かせる」へと視点が変わりました。
お茶・コーヒーとの付き合い方
一方で、鉄の吸収を妨げるものもあります。代表的なのが、お茶やコーヒーに含まれるタンニン。これらは鉄と結びつき、吸収を下げることがあります。
とはいえ、やめる必要はありません。私は ―
- 食事中は控える
- 飲むなら食後1時間ほどあける
という“ゆるい距離感”にしました。大好きなコーヒーを我慢するのではなく、タイミングを整える。それだけで、気持ちも体も無理がありません。
甘いもの・加工食品との距離
精製された糖質中心の食事は、ミネラルのバランスを崩しやすいと言われています。鉄をとっているつもりでも、吸収や代謝がうまく回らない。
私は、甘いものを完全にやめるのではなく ― 空腹時に食べない。食事の代わりにしない。続けて食べない ― この3つを意識するようになりました。
“足す”ケアだけでなく、”乱さない”ケア。 それも、40代の貧血対策には大切だと感じています。
6. 胃腸という土台 ― 吸収できてこそ意味がある
貧血対策を始めた頃の私は、とにかく鉄分の量ばかり気にしていました。それらを意識しているのに、なかなか体調が変わらないことがありました。
そのとき気づいたのが、胃腸の調子でした。
食後に胃が重くなる。お腹が張りやすい。なんとなく消化が遅い感じがする ― そんな状態では、せっかくの栄養も体の中でうまく使われないことがあります。
血をつくる材料は、まず胃腸で消化され、腸で吸収されてはじめて体の中に届きます。つまり、胃腸の元気さは血づくりの土台でもあるのです。
胃腸が弱りやすい生活習慣
40代になると、胃腸の調子も少しずつ変化してきます。以前は平気だった食事が、少し重く感じることもあります。
特に影響を受けやすいのが、毎日の生活習慣です。食べすぎや飲みすぎ。冷たい食べ物のとりすぎ。強いストレス ― こうしたことが続くと、胃腸は少しずつ疲れていきます。
胃腸をいたわる食べ方
特別なことをする必要はありません。私が意識しているのは、ほんの小さな習慣です。
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 温かい食事をとる
- 食べすぎない
とてもシンプルなことですが、胃腸の負担は大きく変わります。忙しい日でも、温かい味噌汁を一杯 ― それだけでも、体は少しほっとするように感じます。
※胃の不快感や腹痛、便の色の変化(黒っぽい便など)がある場合は、消化管の疾患が隠れていることもあります。 必ず医療機関で相談してください。
7. 毎日の食卓の基本形
鉄分を意識し始めたとき、私はまず”量”を増やそうとしました。レバー。栄養価の高い食材 ― けれど、続きませんでした。
特別なことは、長くは続かない。
40代の貧血ケアに必要だったのは、頑張ることではなく、毎日の食卓を整えることでした。
1日3食を、安定させる
若い頃は、1食抜いても平気でした。でも今は、朝を抜いた日の午後にふらつきを感じることがあります。
血は、急につくられるものではありません。材料と、時間と、リズム。
だから私は、完璧な栄養計算よりも「3食を安定させること」を大切にしています。朝は軽くてもいいから口にする。昼は主食+たんぱく質を意識する。夜は消化にやさしいものを選ぶ ―。
鉄分の多い食べ物を一度にたくさんとるよりも、毎日少しずつ。
「毎日レバー」じゃなくていい理由
貧血対策といえばレバー。たしかに鉄分は豊富です。でも、毎日続けられるでしょうか。家族の好み。調理の手間。匂いの問題 ― 無理をすると、貧血ケアそのものが負担になります。
私は発想を変えました。「鉄をたくさんとる日」ではなく、「鉄が自然に入っている食卓」にすること。
- 肉や魚を1品入れる
- 小松菜やほうれん草を副菜に
- 豆腐やあさりを汁物に
特別な献立ではなく、いつものごはんの延長。レバーは、ときどきでいい。 大切なのは、偏らないことでした。
私の基本形
- 主食
- 主菜(肉・魚・卵・大豆製品)
- 副菜(緑黄色野菜や海藻)
- 汁物
この形を意識するだけで、鉄分もたんぱく質も、自然とそろいます。さらに、ビタミンCを含む野菜を添える。お茶やコーヒーは食後少し時間をあける ― そんな小さな工夫も加えるようになりました。
40代の貧血ケアは、”気合い”ではなく”設計”。 完璧な日を目指さないことが、いちばん続く方法でした。
血を育てる、暮らしのリズム
鉄分の多い食事をしても、睡眠不足やストレスが続くと、体はうまく整いません。
血は、食事だけでなく、暮らしのリズムの中で育ちます。 早く寝る。よく噛む。急がず食べる ― そんな基本が、いちばん効いていると感じます。
8. 忙しい日と、間食の整え方
毎日きちんと自炊ができるわけではありません。仕事が忙しい日。帰宅が遅くなった日。外食やコンビニに頼る日 ― そんな日も、普通にあります。
以前の私は、「ちゃんとした食事ができなかった日」をどこか失敗のように感じていました。でも今は、少し考え方が変わりました。完璧な食事を目指さなくてもいい。できる範囲で整えれば、それで十分。
コンビニ・外食での選び方
忙しい日の食事で、私がまず意識しているのは「たんぱく質があるかどうか」です。鉄分は、たんぱく質と一緒にとることで体の材料として使われやすくなります。
コンビニなら ― おにぎり+ゆで卵/サラダ+サラダチキン/お弁当+味噌汁。たった一品追加するだけでも、食事のバランスはぐっと整います。
外食なら ― 意識しているのは、「主食だけの食事にしないこと」。 肉や魚が入った定食、味噌汁がついているメニュー、野菜の副菜がある食事を選ぶだけでも、栄養の取り方は変わってきます。
「足りないものをひとつ補う」 ― おにぎりだけの日ならゆで卵を追加。パスタだけの日ならサラダを添える。コンビニ弁当なら味噌汁をプラス。ほんの小さなことですが、バランスは少しずつ整っていきます。
間食は「小さな補給」になる
40代になると、体のエネルギーの使い方が少しずつ変わってきます。一度にたくさん食べるよりも、少しずつ安定して補うほうが、体がラクに感じることもあります。
「おやつは控えたほうがいい」そう思っている方も多いかもしれません。けれど実は、間食は“体を支える小さな補給”として役立つこともあります。
大切なのは、何を食べるか、どう取り入れるか。
貧血ケアを意識したおやつの例
- ナッツ類(アーモンド、くるみなど)
- ドライフルーツ(プルーン、レーズンなど)
- 高カカオのチョコレート
- ゆで卵
- 小さなおにぎり
以前の私は、疲れたとき=甘いお菓子という選び方をしていました。一時的に元気になるけれど、そのあとにまた疲れを感じる ― そんな繰り返しでした。
そこで少しだけ意識を変えて、「体にやさしいものを選ぶ」ようにしてみたのです。すると、疲れ方がやわらかくなる。気持ちの波が穏やかになる ― そんな小さな変化を感じるようになりました。
続けるコツは、ルールを厳しくしすぎないこと。 時間を決めて食べる。量は少しだけにする。“楽しむ”気持ちを忘れない ― その日の体調や気分に合わせて、やさしく取り入れていくことがポイントです。
まとめ ― 治すより、育て直す
振り返ると、たどり着いたのはとてもシンプルな結論でした。
40代からの貧血ケアは、治すというより、育て直すという感覚に近い。
鉄だけでは足りない。血はチームでつくられる(4章)。とるだけでなく、届かせる(5章)。そのためには胃腸という土台がいる(6章)。特別な食事ではなく、続けられる食卓(7章)。そして、できない日があってもいい(8章)。
そのすべての前提にあるのが、医療機関での検査と診断です。数値を知ること。原因を確かめること。必要なら治療を受けること ― それが土台にあってはじめて、暮らしの中の工夫が生きてきます。
健診の数値は、今の状態を教えてくれる目安です。でもそれが、未来を決めるわけではありません。
私たちの体は今日も、黙々と血をつくり、巡らせ、生かそうとしています。
急がず、比べず、整えていく。完璧でなくていい。今日の食事に、小さな鉄をひとつ。それだけで十分です。
40代は、衰えを感じる時期ではなく、整え直すことができる時間なのかもしれません。
血は、今日も体の中でつくられている ― そう思うと、明日の食事が少しだけ、いとおしくなります。
※本記事は個人の記録と一般的な情報のご紹介であり、診断や治療を目的としたものではありません。健診で指摘された方、症状が気になる方は、必ず医療機関を受診してください。 貧血の背景には、婦人科系の疾患や消化管の出血など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。鉄剤やサプリメントの使用は、必ず医師にご相談のうえ判断してください。 経過観察と言われた場合も、指示された間隔での再検査を受けることをおすすめします。
※あわせて読みたい:主食から栄養を整える方法は40代からの主食の選び方 完全版、巡りを整える習慣は40代は”血流が肝” 完全版、ホルモンとの関係は40代のホルモンと暮らし 完全版へ。
