40代から知っておきたい、体のホルモンと暮らし 完全版 ― 6つのホルモンを知れば、不調の理由が見えてくる【保存版】

④【美容・健康】

40代になってから、こんなふうに感じたことはありませんか。

「なんとなく疲れやすくなった」
「気分の波が大きくなった気がする」
「あの頃と同じことをしているのに、体がついてこない」

私自身、ここ数年でそういった変化をじわじわと感じるようになりました。特別なことは何もしていないのに、以前より体の回復に時間がかかったり、気持ちが揺れやすくなったり。「年齢のせいかな」とぼんやり思いながら、でも何が変わったのかはわからなくて。

そのモヤモヤを解消してくれたのが、「ホルモン」という視点でした。

ホルモンを一言で言うと、「体の中の伝令」です。脳や各臓器から分泌され、血液に乗って全身に運ばれ、「体温を上げて」「眠る準備をして」「今すぐエネルギーを使って」といった指令を、体のさまざまな場所に届けています。種類は100以上あるといわれ、それぞれが絶妙なバランスで働いています。

そのバランスが整っていると、体も心も自然に動いてくれる。逆に乱れると、「なんとなく不調」「気分が上がらない」「眠れない」といったサインとして現れてくる。

つまり、ホルモンを知ることは、自分の体のサインを読み解くことでもあるのです。

この記事は、40代の暮らしと特に関わりの深い6つのホルモンについて、その働きと、日常の中でできるやさしい整え方をまとめたものです。

お伝えしたいのは、「ホルモンのせいにする」のではなく、「ホルモンを知って整える」という視点です。不調があるとき、「なぜこうなっているのか」が少しでもわかると、不安が安心に変わります。難しい医学の話をしたいわけではありません。「知っていると、毎日が少し楽になる」― そんな一冊になればうれしいです。

6つのホルモン 早見表

ホルモン呼ばれ方主な役割整え方のカギ
セロトニン幸せホルモン気分の安定・心の平穏朝の光・食事・リズム運動
ドーパミンやる気ホルモン意欲・達成感・好奇心小さな目標・スマホと距離
コルチゾールストレスホルモン朝の目覚め・ストレス対応意図的に休む
エストロゲン女性ホルモン骨・血管・脳・肌大豆・カルシウム・運動
メラトニン睡眠ホルモン眠りの質・体内時計夜の照明・朝の光
アドレナリン興奮ホルモン緊急時の力・集中力深呼吸・温める

40代の体で、ホルモンに何が起きているか

40代は、ホルモンのバランスが大きく変化し始める時期です。女性の場合、30代後半から少しずつ変化が始まり、40代になるとその変化がより実感しやすくなってきます。

代表的なのがエストロゲン(女性ホルモン)の減少ですが、実はそれだけではありません。

  • 眠りに関わるメラトニンも年齢とともに減少する
  • ストレスに対応するコルチゾールが出やすくなる
  • 幸福感に関わるセロトニンも変動しやすくなる

こうした変化が重なることで、「あれ、なんか最近しんどい」という感覚が生まれやすくなります。

でもこれは、体が弱ったのではなく、自然な変化の流れ。 そう知るだけで、自分を責める気持ちが少しやわらぎませんか。

セロトニン ―「幸せホルモン」と、心の安定

朝、目が覚めても気力がわかない。特に悲しいことがあったわけでもないのに、なんとなく心が重い。晴れているのに、気持ちだけが曇り空 ― そんな日が増えたと感じることはありませんか。

その「なんとなく」には、ちゃんと理由があります。

セロトニンとは

セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、「幸せホルモン」とも呼ばれています。その役割は、心の安定剤という言葉がいちばん近いかもしれません。

十分に分泌されているとき、私たちは「穏やか」「落ち着いている」「なんとなく満たされている」という感覚を持てます。大きな喜びや興奮ではなく、静かで安定した幸福感 ― それがセロトニンのもたらすものです。

逆に不足すると、気分が沈みやすくなる、イライラしやすくなる、眠りが浅くなる、やる気が出ない、些細なことが気になる ― こういったサインが出やすくなります。

40代で変動しやすい3つの理由

① 女性ホルモン(エストロゲン)の減少 ― エストロゲンには、セロトニンの分泌を助ける働きもあります。40代から減少し始めると、それに伴ってセロトニンも変動しやすくなります。「更年期に気分が不安定になりやすい」といわれる背景には、こうしたホルモン同士の連鎖があります。

② 日光を浴びる時間が減っている ― セロトニンは、太陽の光を目から受けることで分泌が促されます。仕事・家事・さまざまな役割の忙しさの中で、気づけば一日中室内にいる日も少なくありません。

③ 睡眠の質の変化 ― セロトニンは夜になると「睡眠ホルモン」のメラトニンに変換されます。つまり、セロトニンが少ないと眠りが浅くなり、眠りが浅いとさらにセロトニンが作られにくくなるという、負のサイクルが生まれやすくなります。

整える、3つの習慣

◎ 朝の光を、目に届ける
起き上がったら、まずカーテンを開ける。ベランダに出て、外の空気を吸う。それだけで十分です。セロトニンの分泌は、起床後の光の刺激によってスタートします。曇りの日でも、室内の照明とは比べものにならないほどの光量があります。できれば15〜30分の朝散歩が理想ですが、忙しい朝はカーテンを開けてその場に立つだけでも、体は光を受け取ってくれます。

◎ トリプトファンを食事に取り入れる
セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸を材料にして作られます。豊富なのは、大豆製品(豆腐・納豆・味噌)、バナナ、卵、乳製品、ナッツ類 ― 実は身近なものばかりです。毎朝のお味噌汁、バナナ一本、ヨーグルト。「何か特別なものを買わなければ」ではなく、「今あるものを意識して食べる」。その視点の切り替えが、暮らしを整えていきます。

◎ リズム運動で育てる
セロトニンは、一定のリズムで体を動かすことでも分泌が促されます。ウォーキング、ヨガの太陽礼拝、自転車 ― 激しい運動よりも、一定のテンポで気持ちよく続けられるものが向いています。実は、よく噛んで食べることもリズム運動のひとつ。忙しい日でも「今日はよく噛もう」と意識するだけで、サポートになります。

セロトニンのことを知ったとしても、落ち込む日は来ます。そんな日は、「セロトニンが少し足りていないのかな」「今日は光が足りなかったのかな」と、少し引いた目で自分を見てあげてください。「なんとなく落ち込む日」は弱さのサインではなく、体が「少し補充が必要だよ」と教えてくれているサインです。

ドーパミン ―「やる気ホルモン」と、スマホの関係

「最近、何をしても達成感がない」「やらなきゃいけないことはわかっているのに、なぜか動けない」「スマートフォンをついだらだら見てしまって、後悔する」

それはサボっているのでも、意志が弱いのでもありません。

ドーパミンとは

ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれますが、その役割は「やる気を出す」というより、「報酬を予測して行動を促す」ことにあります。

何かを達成したとき、好きなものを食べたとき、誰かに褒められたとき ― そんな「気持ちいい」瞬間にドーパミンが分泌されます。そしてその快感を再び得ようとして、私たちは次の行動へと動き出す。ドーパミンは、いわば「行動のエンジン」です。

不足したり乱れたりすると、何をしても面白くない、やる気がわかない、刺激の強いものにばかり引き寄せられる、小さなことで喜べなくなる ― こういったサインが出やすくなります。

40代で変動しやすい理由

① ホルモンバランスの変化との連動 ― エストロゲンが低下すると、ドーパミンの受容体の感受性が変化しやすくなり、以前と同じ刺激では満足感を得にくくなることがあります。

② 慢性的な疲労の蓄積 ― 慢性的に疲れが続くと、脳がドーパミンをうまく作り出せなくなり、「何をしても楽しくない」という感覚につながることがあります。

③ 刺激への慣れ ― 毎日スマートフォンで情報を受け取り、SNSで反応をもらい、動画で手軽に楽しむ。刺激に慣れてしまうと、日常のささやかな喜びでは満足を感じにくくなっていきます。

スマートフォンとの、深い関係

SNSの「いいね」、次々と流れてくる動画、新着通知 ― これらはすべて、ドーパミンを刺激するように設計されています。「次は何があるかな」という期待感がドーパミンを分泌させ、また確認したくなる。この繰り返しが、気づかないうちに脳を疲弊させていきます。

問題なのは、スマートフォンを使うこと自体ではありません。強い刺激に慣れてしまうことで、日常の小さな喜び ― 料理の香り、散歩中の風、誰かとの会話 ― では満足を感じにくくなっていくことです。

健全に育てる、4つの方法

◎ 小さな目標を意図的に設定する ― ドーパミンは、目標を達成したときだけでなく、達成しそうなときにも分泌されます。だからこそ「大きな目標をひとつ」より「小さな目標をたくさん」。「今日はこの一品だけ作る」「15分だけ歩く」― 達成できる小さな約束を自分と結ぶことが、やる気の土台をつくります。

◎ スマートフォンと意識的に距離を置く ― 完全にやめる必要はありません。「食事中は置く」「寝る1時間前はしまう」― 小さなルールを自分で決めるだけで十分です。

◎ 体を動かす習慣をつくる ― 適度な運動はドーパミンの分泌を促します。セロトニンとも連動しているため、体を動かすことは「やる気」と「穏やかさ」を同時に育てる、最も効果的な習慣のひとつです。

◎「新しい体験」を暮らしに取り入れる ― 行ったことのない道を歩く、気になっていたお店に入る、新しいレシピを試す。日常の中の小さな「はじめて」が、脳をよい意味で刺激してくれます。

「やる気」は待つものじゃなく、育てるもの

ドーパミンの研究からは、「やる気は行動の前ではなく、行動の後に生まれる」ことが示されています。まず動いてみる。すると脳がドーパミンを分泌し始めて、「もう少し続けよう」という気持ちが生まれる。

そして私がいちばん大切にしているのが、「小さな達成感を丁寧に味わう」ことです。洗濯を干し終えたとき。料理を一品作り終えたとき。読みかけの本を読み終えたとき ― 以前は「当たり前」として素通りしていたことを、意識して「できた」と感じる。その積み重ねが、やる気の好循環をつくります。

コルチゾール ―「ストレスホルモン」と、休み方

「ちゃんと休んでいるはずなのに、疲れが取れない」「休日に何もしていないのに、なぜか消耗している感じがする」

それは気のせいでも、体が弱くなったからでもありません。

コルチゾールは、悪者ではない

コルチゾールは、副腎(ふくじん)から分泌されるホルモンです。「ストレスホルモン」と呼ばれることが多いのですが、その役割は決して悪者ではありません。

朝、体を目覚めさせる ― コルチゾールは起床前後にもっとも多く分泌され、体温を上げ、血糖値を調整し、「さあ動くぞ」という状態に体を整えてくれます。健全なリズムがあるからこそ、朝に自然と目が覚めるのです。

炎症を抑える ― 体内で炎症が起きたとき、コルチゾールはその抑制に働きます。

ストレスに対応する ― 危険や脅威を感じたとき、素早く分泌されて、心拍数を上げ、筋肉にエネルギーを届けます。これは生命を守るための自然な反応です。

つまりコルチゾールは、体にとって必要不可欠なホルモン。問題は、それが「必要な量」「必要なタイミング」を超えて、出続けてしまうことにあります。

40代で乱れやすい理由

① エストロゲンの低下との関係 ― エストロゲンは、コルチゾールの過剰分泌を抑える働きも持っています。低下すると、コルチゾールが分泌されやすく、かつ収まりにくくなる傾向があります。

② 責任とプレッシャーの重なり ― 「大きなストレス」だけでなく、日常の「小さな気苦労の連続」もコルチゾールを慢性的に引き上げる原因になります。

③ 休めていない感覚の蓄積 ― 「休んではいるけど、休まった気がしない」。その状態が続くと、体はずっと「緊急対応モード」のまま抜け出せなくなります。

本来、コルチゾールは朝に高く夜に低くなるリズムを持っています。慢性的なストレスでこのリズムが崩れると、休んでも回復しない疲労感、浅い眠り、免疫力の低下、そしてイライラや不安感といったサインが出やすくなります。

「副腎疲労」という考え方

近年、「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」という概念が注目されています。コルチゾールを分泌し続ける副腎が慢性的なストレスによって疲弊し、今度は必要なときにコルチゾールが十分に出せなくなる状態のことです。

これは正式な医学的診断名ではなく、医療機関によって見解が異なります。 ただ、「コルチゾールが出続ける状態が体の負担になりうる」という視点は、セルフケアを考えるうえで大切だと感じています。気になる症状がある場合は、まず医師への相談をおすすめします。

整える「意図的な休み方」

最も大切なのは、「意図的に休む」ことです。なんとなくソファでスマートフォンを見ている時間は、「休んでいるようで休んでいない」状態。脳に刺激を与え続けることで、コルチゾールは下がりにくくなります。

◎ 深呼吸・腹式呼吸 ― ゆっくりとした腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、コルチゾールの分泌を落ち着かせる効果が期待されています。

◎ 自然に触れる時間 ― 緑の中を歩く、空を見上げる。自然環境への接触は、コルチゾール値を下げることに関連するという研究報告があります。「15分だけ外を歩く」習慣が、思いのほか効果的です。

◎ 好きなことをする「何もしない時間」 ― 成果を求めない「ただ楽しむ時間」を意識的につくることが大切です。

◎ カフェインとアルコールを見直す ― カフェインはコルチゾールを一時的に引き上げる作用があります。アルコールは睡眠の質を下げ、リズムを乱す原因にも。午後以降のカフェインを控える、週に数日アルコールをお休みするだけで、体の感覚が変わることがあります。

そして最後に、いちばん大切なこと。40代になると、「休むこと」への罪悪感を感じやすくなる方が多いと感じています。「まだできることがある」「これくらいで疲れているなんて」― そういった思考が、コルチゾールを下げにくくする大きな要因のひとつでもあります。

休むことは、怠けることではありません。 コルチゾールのリズムを整え、次の活動のためのエネルギーを補充する、体にとって必要なプロセスです。

エストロゲン ― 女性ホルモンと、体の移行期

「最近、なんだか体の調子が以前と違う気がする」「これって更年期?でも、まだ早いかな……」

40代女性の体の変化を語るうえで、最も大切なホルモンがエストロゲンです。

全身の健康を支えるホルモン

エストロゲンは、卵巣から分泌される女性ホルモンの代表格です。「女性らしさをつくるホルモン」と呼ばれることもありますが、その働きは見た目だけにとどまりません。

骨を守る ― 骨を形成する細胞の活動をサポートし、骨密度を維持する働きを持っています。

血管を守る ― 血管の柔軟性を保つ働きがあるとされています。

脳・神経に働きかける ― セロトニンやドーパミンとも深く関わっており、気分の安定や集中力、記憶力にも影響します。気分の波が大きくなったり、もの忘れが増えたりするのは、この影響と関係していることがあります。

肌・粘膜の潤いを保つ ― コラーゲンの生成や皮膚の水分保持にも関わっています。

「ゆらぎながら低下する」という特徴

女性のエストロゲンは、30代後半から40代にかけて徐々に低下し始めます。ただし、この低下は一直線ではなく、ゆらぎながら下がっていきます。

上がったり下がったりしながら、全体的に低下していく ― だからこそ、「調子がいい日もあれば、悪い日もある」という感覚が生まれやすくなります。

体に出るサイン:肌のハリや潤いの変化/関節のこわばり・乾燥/汗が出やすい、体が急に熱くなる/眠りが浅い/疲れが取れにくい

心に出るサイン:気分の波が大きくなった/以前は気にならなかったことが気になる/なんとなく不安感が続く/集中力が続きにくい

これらは「気のせい」でも「弱くなった」わけでもありません。エストロゲンの変動が、体と心の両方に正直に表れているサインです。

更年期を、正しく理解する

「更年期」という言葉は、少し怖く聞こえることもあるかもしれません。でも、更年期は特別な病気ではなく、閉経の前後5年ずつ、計10年ほどの移行期のことを指します。日本女性の平均的な閉経年齢は50歳前後とされており、40代半ばから50代半ばがこの時期に重なります。

症状の出方には大きな個人差があり、ほとんど気にならない方もいれば、日常生活に影響を感じる方もいます。

大切なのは、「症状が辛い場合は一人で抱えない」ということです。婦人科や更年期外来への相談は、決して大げさなことではありません。ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬など、選択肢は広がっています。

更年期は「終わり」ではなく、「新しい体のステージへの移行」です。そう捉えることで、この時期への向き合い方が少し変わってきます。

食事・生活習慣でできるサポート

◎ 大豆イソフラボンを取り入れる ― 大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た構造を持つ植物性成分として知られています。豆腐・納豆・味噌・豆乳を毎日の食卓に。

◎ カルシウムとビタミンDを意識する ― 骨密度が変化しやすい時期には、カルシウムを多く含む食材(乳製品・小魚・大豆・緑黄色野菜)と、吸収を助けるビタミンDを。

◎ 良質な睡眠を守る ― エストロゲンの変動は睡眠の質にも影響します。睡眠環境を整えることが、ホルモンバランスを整えることとつながっています。

◎ 適度な運動を日常に ― 筋肉を動かすことは、骨密度の維持・自律神経の安定・気分の改善に役立ちます。1日15〜20分のウォーキングで十分です。

◎ ストレスを溜めない工夫を持つ ― コルチゾールとエストロゲンは深く影響し合っています。慢性的なストレスがコルチゾールを上げ続けると、エストロゲンのバランスにも影響することがあります。

メラトニン ―「睡眠ホルモン」と、夜の整え方

「布団に入っても、なかなか寝つけない」「夜中に目が覚めて、その後眠れなくなる」「しっかり寝たはずなのに、朝すっきりしない」

「年齢のせいだから仕方ない」とあきらめてしまう前に、眠りの仕組みを少し知ってみてください。

メラトニンとは

メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。その主な役割は、体に「夜が来た。眠る時間だ」というサインを送ることです。

メラトニンは、体内時計(サーカディアンリズム)の調整役でもあります。朝に光を浴びてから約14〜16時間後に分泌が高まるという、一定のリズムを持っています。つまり、朝の過ごし方が、その夜の眠りを決めているとも言えるのです。

そして興味深いことに、メラトニンの材料となるのは、「幸せホルモン」セロトニンです。日中にセロトニンがしっかり分泌されることが、夜のメラトニンの分泌につながっています。昼と夜の体は、ホルモンを通じて静かにつながっているのです。

40代で減りやすい理由

① 加齢による分泌量の低下 ― メラトニンの分泌量は、若い頃をピークに、年齢とともに少しずつ減っていきます。

② エストロゲンの変動との関係 ― エストロゲンの低下は睡眠の質にも影響し、自律神経を揺らして、メラトニンのリズムにも影響することがあります。

③ 生活習慣による影響 ― 夜遅くまでのスマホ・不規則な生活・ストレス。これらはメラトニンの分泌を妨げます。

光・スマホ・食事との関係

◎ 光 ― メラトニンの最大のスイッチ
メラトニンは、暗くなると分泌が増え、明るい光を浴びると分泌が抑えられます。夜、煌々とした照明の下で過ごしていると、寝つきが悪くなります。夜は照明を少し落とし、暖色系の光で過ごすことが、メラトニンを守ることにつながります。

◎ スマホ ― ブルーライトの落とし穴
スマホやパソコンが発するブルーライトは、太陽光に近い性質を持っています。寝る前に見ると、脳が「まだ昼だ」と勘違いし、分泌が抑えられてしまいます。

◎ 食事 ― 材料を意識する
メラトニンの材料はセロトニン、そのセロトニンの材料はトリプトファン。大豆製品・乳製品・バナナ・ナッツなどに含まれています。これらを日中の食事に取り入れることが、夜のメラトニンを育てる土台になります。

夜の過ごし方で育てる習慣

◎ 寝る1〜2時間前から照明を落とす ― 間接照明や暖色系のライトに切り替えると、体が自然に「眠る準備」を始めます。

◎ 就寝前のスマホ時間を減らす ― 寝る前の30分〜1時間は、スマホを別の部屋に。代わりに読書やストレッチ、ゆっくりお茶を飲む時間に。

◎ 朝の光をしっかり浴びる ― 夜のメラトニンは、朝の光から始まります。起きたらカーテンを開けることで、体内時計がリセットされます。

◎ ぬるめのお風呂で体温を整える ― 就寝の1〜2時間前にぬるめのお湯に浸かると、上がった体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。

アドレナリン ―「興奮ホルモン」と、鎮め方

「些細なことで、心臓がドキドキしてしまう」「気持ちが昂って、夜になっても頭が冴えて眠れない」

ドキドキ、緊張、昂り ― アドレナリンは、少し「やっかいなもの」に感じられるかもしれません。でも、このホルモンは決して敵ではありません。

アドレナリンとは

アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンで、「興奮ホルモン」「闘争か逃走のホルモン」とも呼ばれています。

その役割は、体を「いざというときに動ける状態」にすること。危険や強いストレスを感じたとき、心拍数を上げ、血圧を高め、筋肉に血液を送り、瞬時に行動できる状態をつくります。

太古の昔、人間が野生動物と対峙したとき、すぐに「戦う」か「逃げる」かを選べるよう、体を臨戦態勢にする ― それが本来の役割です。プレゼン前のドキドキ、大事な場面での集中力 ― そういった「ここ一番」で力を発揮できるのも、アドレナリンのおかげです。

なお、よく似たホルモンにノルアドレナリンがあります。アドレナリンが主に「体を動かすための興奮」をつくるのに対し、ノルアドレナリンは脳への作用が強く、集中力や覚醒、緊張感に関わる「心の緊張・警戒」をつくります。

現代生活で「出すぎる」問題

本来、アドレナリンは「本当の緊急時」にだけ出るはずのホルモンでした。でも現代社会は、仕事のプレッシャー、人間関係の緊張、鳴り止まないスマホの通知 ― 体に「小さな緊急事態」を絶え間なく感じさせる環境です。

命の危険がなくても、ストレスを感じるたびにアドレナリンは分泌されます。すると、体は常に「臨戦態勢」のまま、リラックスできなくなってしまいます。

出すぎると、動悸を感じる、イライラ・興奮しやすい、寝つきが悪い、肩や首がこわばる、落ち着かない ― こんなサインが出やすくなります。

40代は、コルチゾールもエストロゲンの変動も重なる時期。「以前は平気だったのに、最近ドキドキしやすい」と感じるのは、複数のホルモンが関わり合って起きる、自然な変化です。

興奮した体を、やさしく鎮める

鍵は「副交感神経を優位にすること」。アドレナリンが「アクセル」だとすれば、副交感神経は「ブレーキ」です。

◎ ゆっくり深呼吸する ― 特に「吐く息」を長くすると、副交感神経が優位になります。4秒吸って、8秒かけて吐く ― それを数回繰り返すだけで、ドキドキが鎮まっていきます。

◎ 体を温める ― 緊張すると、体は無意識にこわばります。温かい飲み物を飲む、湯船に浸かる、首や肩を温める。

◎「何もしない時間」をつくる ― 常に何かをしていると、体は休まりません。意識的に「ぼーっとする時間」を。

◎ デジタルから少し離れる ― スマホの通知は、小さなストレス反応を繰り返し引き起こします。

◎ 温かいハーブティーを一杯 ― 温かい飲み物をゆっくりいただく時間そのものが、体をリラックスモードに切り替えてくれます。カモミールやリンデン、パッションフラワーといった、心身をゆるめるとされるハーブがよく知られています。夜、なかなか気持ちが鎮まらないときに一杯 ― それだけで、体が「もう休んでいいんだ」と気づいてくれるようです。

ドキドキや緊張を「悪いもの」として嫌うのではなく、「体が一生懸命、私を守ろうとしているんだ」と受け取る。アドレナリンは、ここ一番で力を発揮させてくれる頼もしい味方です。大切なのは、アクセルとブレーキ、その両方を上手に使い分けることです。

まとめ ― ホルモンを知ることは、自分の体の言葉を学ぶこと

6つのホルモンをめぐってきて、共通して感じることがあります。

ホルモンを知ることは、自分の体の言葉を学ぶこと。

疲れているのに休めない日があっても、気分が乱れて自分を責めたくなる日があっても ― それは意志の弱さではなく、ホルモンという体の仕組みが正直に働いているサインです。

そして、それぞれのホルモンは独立しているのではなく、深くつながっています。エストロゲンの変化がセロトニンやドーパミンに影響し、日中のセロトニンが夜のメラトニンになり、コルチゾールとアドレナリンが互いに響き合う。体はひとつのシステムとして動いている ― だからこそ、朝の光を浴びる、よく噛んで食べる、意図的に休む、夜の照明を落とすといった小さな習慣が、複数のホルモンに同時に働きかけてくれます。

なお、この6つ以外にも、人とのふれあいで分泌されるオキシトシン(愛情ホルモン)、食後の眠気やだるさに関わるインスリン(血糖値のホルモン)など、暮らしに関わるホルモンはまだあります。特にインスリンについては、食べ方を変えるだけで整えやすくなる部分が大きいので、別記事で詳しくご紹介しています。

40代の体の変化は、怖いことでも、悲しいことでもありません。体が「次のステージへ移行しているよ」と丁寧に教えてくれているサインです。

ホルモンという視点を持つことで、自分の体をもう少し優しく見てあげられるようになる。40代は、そういう「自分の取扱説明書」を丁寧に書き始めるのに、ちょうどいい時期だと私は感じています。

今日の体の感覚を「気のせい」にしないで、ちゃんと受け取ってあげてください。そして、自分をいたわる小さな選択をひとつだけ、今日の暮らしに置いてみてください。

一緒に、自分の体と仲良くなっていきましょう。

※本記事は一般的な情報と個人の体験のご紹介であり、診断や治療を目的としたものではありません。症状が続く場合や日常生活に支障を感じる場合は、婦人科・更年期外来などの医療機関にご相談ください。

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